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まち見聞記

かつて養蚕業で栄えた境町は歴史的建造物が残るもと宿場町 イメージ

2015年10月 更新

埼玉県に接する群馬県伊勢崎市の境町をウォーキング

かつて養蚕業で栄えた境町は
歴史的建造物が残るもと宿場町

赤レンガ倉庫・田島弥平旧宅・トーヨーケン弁当・福島屋 焼まんじゅう・サッちゃんち
群馬県伊勢崎市/最寄り駅:東武伊勢崎線境町駅

養蚕業で栄え、日光への例幣使街道が通る宿場町でもあった境町駅周辺。「富岡製糸場」とともに世界遺産にも登録された田島弥平旧宅や利根川周辺、おいしいお弁当屋などを訪ね歩いてみよう。

東武伊勢崎線の起終点駅となる伊勢崎駅。ここは群馬県の伊勢崎市だ。伊勢崎駅から東京方面に3つ進んだところにあるのが境町駅。浅草駅からは特急りょうもうに乗って約90分で群馬県の太田駅に到着し、伊勢崎方面に乗り換えて、約15分で境町駅に着く。
今回は埼玉県との境に位置する、かつての宿場町でもあった境町駅から利根川のほうを歩いてみよう。

目的は、田島弥平旧宅とする。
群馬県が誇る世界遺産、「富岡製糸場と絹産業遺産群」のひとつとしてリストに登録されている歴史的建造物だ。
境町もかつては養蚕(ようさん)業が盛んで、田島弥平は養蚕業者で、蚕種製造・販売業者であり、そしてまったく新しい蚕の育成法を生み出し、緑綬褒章を授与した偉人だ。
町なかの古き良き建物を見ながら利根川の対岸(南側)を目指してみよう。

駅を出て正面に伸びる道を歩き、100mも行かないところで左手に現れるのが、なにやらカッコイイ赤レンガの倉庫だ。1919年(大正8年)に建てられたこの倉庫。かつては繭の保管庫として使われていたという。
現在は伊勢崎市の所有となっているのだが、残念ながら耐震性の問題から内部の一般公開は行われていない。2011年の東日本大震災で屋根の一部が崩落し、改修されたという。
倉庫前の広場ではイベントなどが行われることもあるようだ。
かつては働く人々でたいそう賑わっていただろうと推察できる境町。現在は比較的静かな中心街を歩いてみよう。

東武伊勢崎線の境町駅。駅前にシャトルバスの乗り場がある

東武伊勢崎線の境町駅。駅前にシャトルバスの乗り場がある

赤レンガ倉庫。なかには入れない

赤レンガ倉庫。なかには入れない

赤レンガ倉庫。大正時代に造られた建築物を鑑賞

赤レンガ倉庫。大正時代に造られた建築物を鑑賞

赤レンガ倉庫が生まれた地を目印に左折

赤レンガ倉庫が生まれた地を目印に左折

例幣使街道。趣のある建物が並ぶ

例幣使街道。趣のある建物が並ぶ

近代建築の板倉屋薬局

近代建築の板倉屋薬局

土蔵造りの商家

土蔵造りの商家

古き良き建築物を眺めながらの
タウンウォーキング

駅前からまっすぐ歩いてきたら、県道142号線を左折してみよう。この道は日光へと続く例幣使街道だ。左折の目印は、左手の角に群馬銀行があり「赤煉瓦塚」の碑のようなもの。
その通りには土蔵作りの商家や、町屋作りの商家、近代建築などがそのまま残っており、見るだけで楽しい町歩きができる。
見るだけとはいえ、なかには古民家をそのまま使ったカフェなどもあるので、ちょっと早いがひと休みするのもいいかもしれない。

駅からまず目指すのは、利根川を渡る船、「島村渡船」だ。市が運営している無料の渡し船で、約300mの川を渡ってくれる。ここを渡らないと、かなり回り道をして橋を渡らなければならない。

さて、ここまで歩いてから書くのも、若干申し訳ないのだが、田島弥平旧宅は駅からはかなり遠い。「島村渡船」までも約3.8kmだ。
ハイキングだからこれくらいの距離はかまわない、という人もいるかもしれない。そういう人は、がんばって。

いきなり約3.8kmの町なかを歩くのはちょっと、という人は田島弥平旧宅行きの無料シャトルバスが出ているので、これを利用するのもいいだろう。「ハイキングなのにバス?」と思うかもしれない。ただ、田島弥平旧宅近くにも歩く場所はあるので、乞うご期待。

駅から60分近くかけて島村渡船の船着き場近くに到着。ここから船で川を渡って一気に目的地まで向かおうという算段だった。
しかし……。

自然の脅威にさらされた利根川
高い土手から周囲の山地を眺めよう

この日は少し風が強かったので、「船は出るかな」とやや不安だったのだが、それをはるかに超えることが起きていた。

船着き場がなくなっていた。
なんと9月に鬼怒川の堤防決壊で大きな被害を出した大雨は、ここ利根川上流でも大変な被害を出していたのだった。
船着き場が流されてしまった。
船は出ていない(2015年9月末現在)。復旧には1~2カ月くらいかかるかもしれないという話も聞いた。

ここからシャトルバスで田島弥平旧宅近くの島村蚕のふるさと公園まで行くことに決定。

この公園は利根川土手近くにある。この土手こそがサイクリングロードになっている。自転車道ではない土手を歩いている人もいた。
シャトルバスでここを目指し、この利根川土手を歩くのもとても気持ちがいいハイキングとなるだろう。高台にあるので、天気がいいときは遠くの山々も綺麗に見えるかもしれない。
残念ながらこの日はやや曇り空だったが。
北は赤城山が見え、そこから東方向には日光の山々が、南には長瀞や秩父の山の影までも見渡せるこの土手のコースは気持ちよくオススメだ。

島村渡船の乗り場がこの奥に

島村渡船の乗り場がこの奥に

無惨に壊された船着き場

無惨に壊された船着き場

南方面。秩父のほうだろうか。天気がよければ土手から赤城山も見える

南方面。秩父のほうだろうか。天気がよければ土手から赤城山も見える

「田島弥平旧宅」

「田島弥平旧宅」

「田島弥平旧宅」。屋根の部分に櫓があるのがわかる

「田島弥平旧宅」。屋根の部分に櫓があるのがわかる

世界遺産のひとつを見る喜び
田島弥平旧宅を知る

島村蚕のふるさと公園から田島弥平旧宅は近い。

田島弥平は幕末から明治にかけて、優良な蚕種を生産する独自の養蚕技法である「清涼育」を体系的に確立させた。そのための規範となる養蚕建物も発案、近代養蚕飼育法を確固たるものとした。
それらが残されているのがこの田島弥平旧宅だ。
もっとも特徴的なのは、空気循環をよくする2階建て、瓦葺で、気抜き用の窓となる櫓(やぐら)が付いている点だ。主屋は外からその櫓部分を見ることができる。
近代養蚕業の技術進歩を知るために重要な建築物であることから国指定史跡となり世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」のひとつとして登録されている。

田島弥平旧宅は現在も人が暮らしているので庭から外観を見ることができ、南側に隣接している田島武平旧宅は、桑麻館として内覧も可能となっている(有料)。

境町駅周辺のおいしいもの
お弁当と焼き饅頭!

田島弥平旧宅までの道中、前述した古民家カフェなどもあるが、オススメのお弁当屋さんを紹介しよう。
境町駅からは徒歩で約15分、そのまま利根川方面へ向かうこともできる「トーヨーケン弁当」だ。
40種類以上のお弁当とさまざまな惣菜が売られている、地元の人にも人気の弁当屋で、ボリュームがたっぷり。メニューにある弁当にオプションでおかずを増やすこともできるという。
何度も利用している人たちのなかで人気があるのは、「からあげ弁当」。決して小さくはないからあげが、7つも載っている。とてもジューシーでしっかりした味つけがされていて、ひとつ食べるとつい次のからあげに手が伸びてしまうおいしさだ。
からあげだけでは……という人には「トーヨーケン弁当」がおすすめ。焼鮭、コロッケ、オムレツ、からあげなどが器からあふれんばかりに入っている。どのおかずも店主さんの確かな技術と愛情で作られたおいしさに満ちている。
天気がいい日に土手で食べるのも気持ちいいだろう。

上州名物として知られる焼き饅頭のお店で、大正元年創業という「福島屋 焼まんじゅう」も食べておきたいので、駅近くまで戻ってきてから行ってみた。
しかし残念ながら閉店。あとでわかったのだが、15時くらいに閉めてしまうこともあるらしい。とても年季の入った店構えだけは見ることができたのだが、そうなるとなおさら食べたくなってしまう。
と思っていたら、現在はネット通販も行っている。早速購入。
クール便で送られてきたまんじゅうは、自分で調理。それでも独自の甘みがあるタレともちもちフックラした食感はしっかり堪能できた。餡が入っていない饅頭だ。
あの国定忠治に由来する焼き饅頭、境町ウォーキングを思い出すためにも自宅に帰ってから「福島屋 焼まんじゅう」を取り寄せてみるといいだろう。

「トーヨーケン弁当」

「トーヨーケン弁当」

「トーヨーケン弁当」。おいしそうな中身は「見どころ写真」を見て!

「トーヨーケン弁当」。おいしそうな中身は「見どころ写真」を見て!

「福島屋 焼まんじゅう」。残念ながら閉店していた

「福島屋 焼まんじゅう」。残念ながら閉店していた

タレはもっとたっぷりつけた方がおいしい。ちょっと失敗。でもおいしい

タレはもっとたっぷりつけた方がおいしい。ちょっと失敗。でもおいしい

「サッちゃんち」

「サッちゃんち」

年季の入った「サッちゃんち」店内

年季の入った「サッちゃんち」店内

「サッちゃんち」。駄菓子屋で食べる伊勢崎もんじゃは土手を作らず、食べる分を焼く

「サッちゃんち」。駄菓子屋で食べる伊勢崎もんじゃは土手を作らず、食べる分を焼く

「サッちゃんち」。10円からある駄菓子。やはり大人もテンションが上がる。詳しくは「見どころ写真」参照

「サッちゃんち」。10円からある駄菓子。やはり大人もテンションが上がる。詳しくは「見どころ写真」参照

もんじゃは駄菓子屋で食べるもの
伊勢崎もんじゃが食べられる老舗

最後に、境町駅から3つ進んだ伊勢崎駅にある駄菓子屋「サッちゃんち」を紹介しておこう。
かつて東京下町出身の貿易商が伊勢崎に伝承したといわれている「伊勢崎もんじゃ」が食べられる店だ。
とはいってもあくまでも駄菓子屋。この店の客の中心は子どもだ。大人が大挙して訪れるような店ではないので、そこは忘れずに。
もんじゃの鉄板もひとつしかないので、大人のもんじゃオーダーは土日のみに限られている。
もんじゃはなんと260円! 玉子入りでも300円という安さだ。具が多めのCコース360円というのもある。子どもが、「今日はちょっと贅沢にCコース」と鼻の穴を広げている様を想像して微笑んでしまう。
味はソース、カレー、あまから、あま、大あまがある。
この「甘いもんじゃ」が伊勢崎もんじゃの最大の特徴といえるだろう。昭和の時代、もんじゃは駄菓子屋で食べる子どものおやつだったのだ。それがここ「サッちゃんち」には残っている。

「サッちゃんち」は2015年で開業から33年となる。
この日偶然居合わせた大人の女性ふたり客。そのうちのひとりは、サッちゃんの娘さんが小学生のときに新任でやってきた担任の先生だという。10年以上ぶりにやって来たもと先生は、サッちゃんがすぐに名前を言ってくれたことに大層感激していた。
子どものころから店に通っている女子大生が彼氏を連れてきたりと、店の長い歴史は多くの人の心にしっかりとその存在を焼き付けてきたということがわかった。
33年経ってもたぶん昔と変わらないであろうサッちゃんの元気な声が、お客さんのことも元気にしてくれる。
こんな店が家の近くにあったら幸せだと思う。

10円からある駄菓子を選んでいると、子どものころに戻ってしまいそうだが、最初に書いたようにこの店はあくまでも子どものための店。混んでいるときは子どもや地元の人に譲ることを忘れずに、買い物を楽しもう。
写真・文/猫拾 ブミ

見どころを写真で紹介

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