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わたらせ渓谷鉄道で行く「足尾銅山」跡地 イメージ

2012年11月 更新

歴史に触れ、自然に触れられる足尾町へ行こう

わたらせ渓谷鉄道で行く「足尾銅山」跡地

足尾銅山・通洞大橋・わたらせ渓谷鉄道 栃木県日光市足尾町/
/最寄り駅:東武鉄道経由 東武桐生線 相老駅のりかえ わたらせ渓谷鉄道 通洞駅

江戸から昭和まで、栄えては衰退し、栄えては糾弾され、という稀有な歴史を刻んできた足尾銅山。現在は坑道の一部を観光施設にリニューアルし、銅山の歴史を広く紹介している。渡良瀬川渓谷を走るわたらせ渓谷鉄道に乗って懐かしささえ感じられる街、足尾町へ行ってみよう。

浅草駅から東武線特急「りょうもう」に乗り、約100分。

群馬県桐生市の相老(あいおい)駅に到着した。ここでわたらせ渓谷鉄道に乗り換える。その名の通り、渡良瀬川の渓谷を走る1~4両編成の趣のある列車だ。
相老駅を出た時はそれなりに空席もあった。車窓からの景色には住宅が並んでいる。まだ渓谷ではない。しかし、ふたつめの大間々駅に到着すると、なぜか多くの人が降りていった。車内放送でわかったのだが、どうやらトロッコ列車に乗り換える人たちのようだ。
トロッコ列車というのは、窓ガラスがないオープンタイプの列車で、渓谷の風をそのまま感じながら臨場感たっぷりに景色を楽しめる特別列車のこと。土日を中心に指定された日のみ数便運行されている。トロッコわたらせ渓谷号と2012年4月にデビューしたトロッコわっしー号の2種類が走っている。
残念ながらこの日は全便貸し切りとのこと。乗りたかった・・・・・・。

わたらせ渓谷鉄道。残念ながらトロッコ列車ではなく普通列車

わたらせ渓谷鉄道。残念ながらトロッコ列車ではなく普通列車

大間々駅に停まっていたトロッコ列車。このように窓がないのです。トロッコわっしー号は見どころ写真参照

大間々駅に停まっていたトロッコ列車。このように窓がないのです。トロッコわっしー号は見どころ写真参照

走る列車の車窓から

走る列車の車窓から

通洞駅から見える観光案内センター

通洞駅から見える観光案内センター

大間々駅ではこちらの列車に乗ってくる人も多く、
あっという間に満席になってしまった。

立っている人もいるほどだ。そして駅を出ると車窓からは渓谷とほんのりと色づき出してきた紅葉が見えてきた。進行方向に向かって右側に見えるその景色を、反対の左側の席に座っている人たちが、立ち上がって首を伸ばして見ていた。

次の上神梅(かみかんばい)駅に着く手前、右手には小さめの山が見える。その中腹には水の神様を祀る貴船神社があるらしい。京都からの分社で、干ばつなどから守ってくれたといわれている。近年は交通安全祈願などで訪れる人も多いらしい。ほどなく到着した上神梅駅は、大正元年に建てられた駅で、2008年に駅本屋およびプラットホームが登録有形文化財に登録されている。

引き続き車窓からは綺麗な渓谷風景が望めて、列車はカーブしたり橋を渡ったりして進んでいく。
水沼駅には駅舎と温泉が一体になった「水沼駅温泉センター」がある。“すっぴん美人の湯”とお食事処があるので、つい降りてひと休みしたくなってしまった。まだ全然歩いていないのに。
次の花輪駅は童話「うさぎとかめ」の作者出生の地で、モニュメントのようなものがある・・・・・・らしい。見えなかったけど。

トンネルが途切れるときに見える小さな滝に注目。

神戸(ごうど)駅の手前にはトンネルがあり、そのトンネルが途中で一度途切れるときに小さな滝が見える。車掌さんがその説明をしてくれたので、乗客全員が固唾を呑んで左側の窓に注目していた。そしてトンネルが途切れた直後、「あ~~~」という歓声とともに少し苦笑の声が。
あまりにも列車に近いのと、言われたとおり確かに小さかったからだ。
でもぜひ注目してみてね。
神戸駅に着くとお弁当やふかし芋などを売りに来てくれる。停車時間はそれなりにあるが、買おうと思うならお金を用意しておくといいかもしれない。
そしてここでは駅に直結した「レストラン清流」がある。東武線特急として使用されていた「けごん」の車体を利用している食堂車のような雰囲気のレストランだ。車内に広告が貼られていた「やまと豚弁当」がとてもおいしそうだった。

駅から近いコミュニティカフェ「さんしょう家」

駅から近いコミュニティカフェ「さんしょう家」

「足尾銅山観光入口」。古い看板も残っている

「足尾銅山観光入口」。古い看板も残っている

「足尾銅山観光」。このトロッコで坑道の入口まで行くのだ。トロッコは約15分おきに運行

「足尾銅山観光」。このトロッコで坑道の入口まで行くのだ。トロッコは約15分おきに運行

かつて銅山で栄え、いまは観光と懐古の街
日光市足尾町の自然に触れる。

相老駅から約105分で通洞(つうどう)駅に到着。山を背負ったような雰囲気のいい駅舎だ。
駅を出て直進すると観光案内センターがある。マップガイドなどが置いてあるのでもらっていくといい。
駅から約5分ほど歩いたところにあるのが、国指定史跡の足尾銅山跡だ。

1648年には徳川幕府の御用銅山となり、江戸城や増上寺、日光東照宮などの銅瓦にも使用された銅を大量に産出した足尾銅山。その発見は1610年という説が強く、1684年頃に最盛期を迎えたが、江戸末期には一端廃山同然の状態になってしまった。
その後、1877年(明治10年)に古河市兵衛が銅山を買収、経営に乗り出し、近代技術を用いた鉱源開発により、多くの鉱床を発見。産銅量が増加し、銅山は再び活気を取り戻していく。
さまざまな近代的手法を取り入れて大躍進を続けた足尾銅山は、東洋一の生産量を誇るほどにまで成長。
しかし一方では公害問題も浮上。最終的には生産量の減少もあり、1973年(昭和48年)に閉山してしまった。

「足尾銅山観光」は実際の坑道を観光用に
リニューアルした展示場だ。

入口となるステーションからトロッコ列車に乗って向かったのが、最初に掘られたという通洞坑。降車場で最初に見られるのが奥へと続く坑道で、そこは入ることはできない。山の中の坑道は横に掘るだけではなく縦にもたくさん掘られており、その高低差は約1200mもある。そしてその掘られた距離の総延長は、東京から博多までの距離に相当する1234kmにも達するという。
巨大だ。

そこからは歩いて展示を見ていく。
「江戸時代展示場」「明治・大正時代展示場」「昭和時代展示場」に分けられたエリアでは人形や音声で当時の採掘の様子を再現。「源さんの探検シアター」というCGによる採掘の説明や発掘された鉱石、製錬所の模型なども見られる。
坑道内は天井から水がポタポタ垂れてきて、新たに作られた観光施設ではなく、「本当に実際の坑道だったんだ」と感じられる。
土産物屋やレストランがあるレストハウスを通って外へ出た。

足尾銅山観光のトロッコに乗って後ろを振り返ると通洞大橋が。綺麗な風景

足尾銅山観光のトロッコに乗って後ろを振り返ると通洞大橋が。綺麗な風景

「足尾銅山観光」。この先に1234kmの坑道が縦横に走っている

「足尾銅山観光」。この先に1234kmの坑道が縦横に走っている

「足尾銅山観光」。このような人形が坑道内にもたくさん

「足尾銅山観光」。このような人形が坑道内にもたくさん

渡良瀬川に架かる通洞大橋。トロッコ上から見たのとは反対側の河川敷に降りられる

渡良瀬川に架かる通洞大橋。トロッコ上から見たのとは反対側の河川敷に降りられる

足尾町の山、紅葉、渡良瀬川の清流
そして新旧の食堂、昭和の商店街。

足尾銅山観光へ入る前にはしっかり見なかったが、入口に向かって背中側には山がある。いま展示を見てきたのはその山のなかとなる。そしてその向こう側にはメインとなる銅山の備前楯山があり、中には縦横に1234kmの坑道が走っているわけだ。
備前楯山の向こう側には見事な紅葉が楽しめる庚申山や袈裟丸山がある。今回はどの山も見えないが、紅葉を楽しみに行くハイキングではしっかり登山の装備をして、注意して登るように心がけよう。

今回は山には登らないので、渡良瀬川に寄ってみた。
住宅街の横に公園があり、河原へ階段が降りている。山の緑に映える真っ赤な通洞大橋が綺麗だ。この辺りは水深が浅いのだが、石はどれも水の流れでボールのように滑らかな形になっている。水は透き通って底が見え、ひんやり。
川に入りたい衝動を抑えて階段を昇った。

駅近くに戻ってご飯を食べる店を探す。

昭和の面影が残る駅前商店街なのだが、休日だからなのか、シャッターを閉めている店が多くて残念。
観光案内所でも軽くおすすめされた「さんしょう家」は、その名のとおり山椒を使った料理やシフォンケーキなどを出している“コミュニティカフェ”とのこと。数人が共同で営業している新しい店らしい。ただ建物は古民家を改装したもので、古い知り合いの家に来たような気分になれる。

今回は、ガイドマップを見たときからなんとなく気になっていた「若竹食堂」へ入ってみた。古そうな食堂だ。うどんや蕎麦は400円から500円で、どんぶり物も種類がある。
「ラーメン」(500円)を頼んだ。
待っている間、お店のお母さんに話を聞いてみると、なんと1937年(昭和12年)からやっているお店だという。銅山がある時代は店も満席で活気に満ちていたらしい。
残念なことにもう店は閉めることにしたという。80歳を過ぎたお父さんも大変だし、後継者もいないので仕方がないらしい。
「でも閉めると決めてもなんとなく暖簾出しちゃって続けてるの」
というお母さん。現在は土日だけ開けて、冬は営業しないことにしたらしい。もしかしたらそのまま閉店してしまうかもしれない。
ラーメンは細麺で、懐かしさを感じさせる小さな丼にたっぷりと入って運ばれてきた。食べていくと丼の内側に店名と電話番号が現れるかわいい器だ。
重厚なテーブルは一枚板で、「足尾で採れた木ですよ」と言っていた。

もう団体客には対応できないという。しかし、土日にひとりふたりで足尾銅山を訪れる機会があったら、ぜひ覗いてみてほしい。

昔の話、現在の話をいろいろ聞いて、「近いうちにまた来たい」「できるだけ続けてほしい」という勝手な希望を伝えて帰ろうとすると、「暖簾が出ていたら入ってみてください」と笑うお母さん。
温泉や宿泊施設もある足尾。今度は泊まりがけで来たいと思った。 写真・文/はるやまひろぶみ

「足尾歴史館」では銅山以外の歴史についても展示がある

「足尾歴史館」では銅山以外の歴史についても展示がある

「足尾歴史館」の近くの踏切をトロッコ列車が走る

「足尾歴史館」の近くの踏切をトロッコ列車が走る

トロッコ列車。乗りたい

トロッコ列車。乗りたい

見どころを写真で紹介

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