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まち見聞記

「大内宿」「塔のへつり」「中山風穴」を歩く イメージ

2012年10月 更新

湯野上温泉周辺で天然記念物をめぐる

「大内宿」「塔のへつり」「中山風穴」を歩く

大内宿・塔のへつり・中山風穴地特殊植物群落
福島県南会津郡下郷町/最寄り駅:会津鉄道 湯野上温泉駅、塔のへつり駅

南会津の秘湯ともいわれる湯野上温泉は、静かな温泉街。豊富な湯量で多くの旅館や民宿が軒を連ね、心と体を癒しに来る人がたくさんやってくる町だ。今回はその周辺の国指定天然記念物をウォーキングしてみよう。

東武鉄道から野岩鉄道を経て
会津鉄道の湯野上温泉駅に到着。

ここは日本でも唯一の茅葺き屋根の駅舎として知られている。ホームには湧き出た温泉が大きな桶にちょろちょろと流され、駅舎内には囲炉裏があるという、まさに古民家のような駅だ。

湯野上温泉には猿湯伝説というものがある。
闘いに敗れたボス猿が湯に浸かり傷を癒しつつも、もはや飢えて死ぬしかないという状況のときに、通りかかった老婆が握り飯を与えたところ、猿は拝むような仕草をしてから食べたというものや、猟師に打たれた手負いの猿が湯に浸かって傷を癒したという話などがこの地に残っている。
特に繁華街や歓楽街があるわけでもない、静かな温泉街だけあり、周囲には天然記念物も多い。

会津鉄道の湯野上温泉駅は日本で唯一の茅葺き屋根の駅舎。趣深い

会津鉄道の湯野上温泉駅は日本で唯一の茅葺き屋根の駅舎。趣深い

秘湯、湯野上温泉。おきあがり小法師がよく知られている

秘湯、湯野上温泉。おきあがり小法師がよく知られている

湯野上温駅舎内には囲炉裏もある。古民家のよう

湯野上温駅舎内には囲炉裏もある。古民家のよう

中山風穴。階段が作られているところもある。上り下りが続く

中山風穴。階段が作られているところもある。上り下りが続く

まずは国指定天然記念物の
「中山風穴」へと向かってみよう。

正式には「中山風穴地特殊植物群落」というらしい。標高600~800mにあり、約200万年前に地下から現れた火成岩の隙間から冷たい風が吹き出ているという。風穴と呼ばれるその涼しい穴がいくつかあり、この一帯は夏でも気温が上がらないことからさまざまな種類の高山植物が群生している。
駅から歩くこと40分近く。中山風穴への入口があった。アスファルトの坂道で、しばらくそれを登ると看板がある。どうやらウォーキングコースになっていて、6つの指定地に分けられているらしい。
進んでみる。
細い道で木の階段状になっているところや土だけの坂道もある。前夜の雨のせいか、ややぬかるんでいるのがちょっと恐怖だった。
ロープが張ってあり、「危険。ロープの近くを歩かないように」と書いてあるところもあった。そして何度も見かける「熊に注意」の看板。熊よけの鈴、付けてないけど大丈夫……?

上り下りを繰り返し、結構息が上がってきたところで
“風穴”発見。

洞窟のようなものを想像していたがそれほど大きくはなかった。近づいてみると、確かに冷たい空気が感じられる。風穴はいくつかあるはずだが、この日はここしか見つけられなかった。というか、足元に気を取られて気付かなかったのかもしれない・・・・・・。
また残念なことに、高山植物の開花時期が過ぎていたため、そこここにあるのは葉っぱばかり。それほど知識がないので、あまり「わー!」という感動はなかった。
6~8月上旬くらいまでが花の見ごろらしい。

中山風穴の冷感体感施設。涼しいっ!

中山風穴の冷感体感施設。涼しいっ!

冷感体感施設の壁。頭ではわかっているのだが、なぜこんなに涼しいのか不思議

冷感体感施設の壁。頭ではわかっているのだが、なぜこんなに涼しいのか不思議

中山風穴。展望台に到着。この階段が鐘のように鳴った。ここからの風景は「見どころ写真」を参照

中山風穴。展望台に到着。この階段が鐘のように鳴った。ここからの風景は「見どころ写真」を参照

冷気だけが漂う少し神秘的な山道をひとり歩く。

上り下りでそれなりに体力も使う。熊も気になる。途中で大川の滝が見えたりもしたが、遠いし草の間からだったので、ここもそれほど「わー!」というものではなかった。
しかし、よっこらよっこらと歩いてくると、必ずご褒美は待っているもの。展望台に出た。
坂を登ったところにある階段を昇ると、まるで足音がお祝いの鐘のように鳴った。そこからの見晴らしは、つい「わー!」と言ってしまうものだった。
このあと行こうと思っている塔のへつりも小さいながら確認できた。

そしてさらに、アスファルトの道にある冷感体感施設「中山風穴倉庫跡」というところでも、思わず「わー!」と声を漏らしてしまった。実は登るときに前を通っていたのだが、なんとなく「帰りにしよう」と思っていたのだ。そのお陰でふたつめのご褒美となった。
そこは昔、この冷気を利用して食物などを保存していた天然の冷蔵庫のようなものだったらしい。7×5.5mほどの四角く仕切られたところへ入った瞬間、一気に冷気を感じた。霊気ではなく、自然の冷気だ。

しばらく涼んでから気持ちよく坂を降りた。

江戸時代の雰囲気が残る古民家群
名物を食し、絶景を撮影する。

湯野上温泉駅から約6kmのところにある「大内宿」。
地元の人に、「歩いていく人もいますよ~」「歩いていく人はまんずいないよ~」と極端な情報をいただいたのだが、腹ぺこなのでタクシーで向かった。

大内宿というのは国の重要伝統的建造物郡保存地区に指定されている、江戸時代の町並みが残されている観光地だ。会津若松と日光街道の今市とを結ぶ下野(しもつけ)街道の宿場町だったところで、かつては参勤交代の大名行列や旅人、行商人などが行き交っていた。明治時代になると国道121号線が開通し、この宿場町はひっそりと存在するだけになってしまったが、戦後再び注目を集め、さまざまな人の尽力によって貴重な文化財として保存されるようになった。現在は約400mの長さで両脇に茅葺き屋根の古民家が軒を連ね、その景観はまるで江戸時代のようだ。ただし、飲食、土産物屋、民宿などさまざまなお店が営業していて、観光客もたくさん来ている。観光最盛期は駐車場に入る車がズラリと並ぶらしい。

ここまで来る道を走る車から見ていたら、歩道もない坂道だった。歩かなくてよかったと心から思った。ただしあとで聞くと、その道ではないところにウォーキングコースがあるという。ただしそちらは10km以上の道のりらしい。
タクシーで正解。すいません、腹ぺこなんです。

大内宿。時代劇に使えそう

大内宿。時代劇に使えそう

「大内宿町並み展示館」。江戸時代の部屋の様子を再現。農具や民具も展示している

「大内宿町並み展示館」。江戸時代の部屋の様子を再現。農具や民具も展示している

「分家玉屋」店頭では岩魚の塩焼きが炭火で焼かれている

「分家玉屋」店頭では岩魚の塩焼きが炭火で焼かれている

元祖「ねぎ蕎麦」の「三澤屋」

元祖「ねぎ蕎麦」の「三澤屋」

ここには観光客がほとんど来ていない、
冬の雪が積もっているときに来たことがある。

そのときは「三澤屋」で名物の「高遠蕎麦」を食べた。二代将軍徳川秀忠の三男が、信州高遠藩で育ったのちに会津藩の藩主となって以来、この呼び方がされるようになった蕎麦だ。三澤屋では水を一切使わず、大根のおろし汁だけで作られた蕎麦つゆが特徴。さらにいかにも“名物”らしい特徴は、蕎麦に長ネギが1本刺さっているその姿だ。ネギで蕎麦を掬って食べるのだ。食べながら薬味としてかじってもいい。

今回は、入口近くにある「分家玉屋」の名物、「とりせいろ飯」(1050円)をいただいた。かまどで炊いたご飯に柔らかく煮込んだ鶏肉、タレ、たっぷりのネギを乗せ、混ぜて食べる。

おいしい。
この店はスイーツもあり、隣のテーブルでは女の子同士がおいしそうに頬張っていたのだが、時間と腹具合がギリギリだったので、デザートは食べず、そそくさと店を出た。余裕があるようならぜひ味わってほしい。

大内宿を奥まで歩く。

土産物屋やじゅうねん味噌を付けたお団子などが炭火で焼かれている。どれもこれも食べたくなってしまう。
じゅうねんというのは別名えごまという、シソ科の植物だ。これも会津名物で、えごま油などは料理にも使うが、そのまま飲んでも体にいいらしい。

突き当たりまで進むと、何やら急な階段が・・・・・・。階段の先の高台を見ると数人の人が写真を撮っている。
・・・・・・あ~、そこ、ビューポイントですか・・・・・・。
登らずばなるまい。
神社などにありがちな一段の幅が狭く、やや急な階段を昇った。その時点で、「この階段、降りられるかな」という不安が頭をよぎった。すでに中山風穴で太腿へ負荷をかけてしまっているのだ。
だが、確かにそのビューポイントからは絶景が堪能できた。
登って正解。
そしてありがたいことに下りは別の道があり、そちらはやや緩やかだった。
ホッ。

冬の大内宿。人は歩いていなかった

冬の大内宿。人は歩いていなかった

大内宿。夏はお土産屋も賑やか。人も大勢いる

大内宿。夏はお土産屋も賑やか。人も大勢いる

塔のへつり

塔のへつり。吊り橋より高い展望台から見られる

100万年かけて生み出された険しい崖
滑らないようにまたしても太腿ふんばる。

湯野上温泉駅の隣にあるのが、無人駅の塔のへつり駅。ここにも国指定天然記念物がある。その名も、駅名そのまんま、「塔のへつり」だ。へつりというのは方言で険しい崖のことを言い、その形が塔のように縦長になっていることから、“塔のへつり”と呼ばれるようになった。
凝灰岩をはじめとした多種類の岩が互い違いに重なり、それぞれの浸食の度合いが異なることから不思議な景観を創りあげている。浸食によってこのような景観になるまでには100万年かかるともいわれている。

そのへつりは大川の対岸にあり、間近まで行けるように吊り橋が架かっている。
渡ってみる。
吊り橋といっても縄で吊ってあるものではなく、頑丈なケーブルで吊られているので安心だ。しかしそれでもまったく揺れないわけではないので、橋の上でふざけるのはやめよう。
実際、子どものようにジャンプする大人がいた・・・・・・。揺れるってば。やめて。

へつり側に渡ると…

浸食された断崖の道を歩くこともできるし、昔からあった自然崇拝的な信仰から造られた菩薩像や神社などを見ることもできる。
またしても急な階段や滑る岩肌などを歩くことになった。しっかりしたウォーキングシューズで来てよかった。それでも歩き方はおじいちゃんみたいだったかもしれない・・・・・・。

近くにはお食事処や土産物屋もたくさんある。マムシ酒にされる前の生きたマムシも陳列されていた。そのほか、こけし絵付けなどもできる。

マムシ酒は飲まず、猫へのお土産「マタタビの枝」(100円)を購入して無人の塔のへつり駅へと戻ることにした。 写真・文/はるやまひろぶみ

会津鉄道の塔のへつり駅は無人。途中下車して再乗車も可能だ

会津鉄道の塔のへつり駅は無人。途中下車して再乗車も可能だ

見どころを写真で紹介

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