東京下町の歴史を楽しんだり、浅草やグルメを堪能しながら観光名所を巡る東京下町の観光情報誌

[2014年3月 更新]

東京下町から生まれた
赤ちょうちんと酎ハイの歴史

「赤ちょうちん」といえば居酒屋の代名詞のようなものだが、そもそもなぜ「赤ちょうちん」なのだろうか? 居酒屋のはじまりはいつ? どこで? 居酒屋の歴史を辿ることで見えてくる赤ちょうちんの歴史と、江戸・東京の居酒屋文化について触れてみよう。

東京下町から生まれた赤ちょうちんと酎ハイの歴史

江戸期にはじまった
庶民のための居酒屋文化

「赤ちょうちん」を辞書で調べると、「赤いちょうちんのこと」という当たり前の解説のほかに、たいてい「居酒屋や飲み屋の通称」といった類いのことが書かれている。

797年に書かれたとされる「新日本紀」によると、761年には居酒屋なるものが存在したという記録があるらしい。どうやら日本の酒文化の歴史を辿ると、かなり古くまでさかのぼるようだが、酒を飲むことは、平安や室町時代では貴族階級、鎌倉時代では武士階級と、限られた人たちのもので、とても一般庶民が親しめることではなかった。
戦国時代になると、ようやく庶民相手の居酒屋が登場したようだが、本格的に発展したのは江戸時代だといわれている。

酒の量り売りをしていた酒屋が、その場で客に酒を飲ませるようになり、やがて酒の肴まで提供するようになったのがはじまりで、これが「居続けて飲む」行為であることから、酒を販売するだけの「酒屋」と区別するために、店先に「居酒致し候」という張り紙をするようになったのだという。ということは「居酒屋」のルーツは角打ちということになるのか・・・・・・?
ともあれ、現代まで受け継がれる庶民や大衆のための居酒屋文化のルーツは、江戸・東京にあるようだ。

赤ちょうちんに書かれた「居酒屋」の文字

赤ちょうちんに書かれた「居酒屋」の文字

赤ちょうちんで大当たり!
これが居酒屋の代名詞となった

ではなぜ、居酒屋の代名詞が「赤ちょうちん」になったのだろうか?
諸説あるようだが、有力な話はこれだ。

軒先のちょうちんといえば赤いものというのが現代の常識となってしまったが、もともと江戸期の店の軒先には白いちょうちんに墨で屋号を入れたものを掲げるのが一般的だった。
そんななか、とある居酒屋がちょうちんを赤くしてみたところ、これが大当たり! 赤ちょうちんを掲げた居酒屋は、たちまち人気店となり、他店も真似するようになったことから、居酒屋の軒先には赤ちょうちんというのが定番になった、というもの。

江戸期、夜間営業をする飲食店が赤いのれんを掲げるという習慣はもともとあったらしく、ちょうちんもこれに倣ったともいえるが、ほかでもない「赤」だから成功したという見方もある。
赤は目立つ色であるだけでなく、食欲を増進させたり、行動を促したりする効果があるそうだ。さらに、真偽のほどは不明だが、酔った人が赤い色に引き寄せられるという心理現象もあるのだとか。
折り込みチラシの価格の色がそうであるように、お得感を植え付ける色でもありそうだ。
つまり、赤は人をその気にさせる色だといえるかもしれない。

昼間の赤ちょうちんは、まるで昨夜の酔っぱらいのよう

昼間の赤ちょうちんは、まるで昨夜の酔っぱらいのよう

知らない人と話が弾むこともあるのが赤ちょうちんのお店

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東京・下町の赤ちょうちんが
生んだお酒、チューハイ

江戸・東京からはじまった赤ちょうちん(=居酒屋)は多くの大衆文化を生んだが、決して豊かではない東京・下町庶民だからこそ誕生したお酒がある。今ではすっかりおなじみのチューハイだ。

庶民の生活に欧米の食文化が入り込んできた戦後当時、ハイカラな街・銀座ではウイスキーを炭酸で割ったハイボールが流行っていた。でもそれを飲めていたのは都会のセレブだけで、貧しい下町の庶民たちには高嶺の花。とても手の出せるシロモノではなかったのだ。
そんなころ、下町のとある居酒屋が、焼酎を炭酸で割った「焼酎ハイボール」を発案したところ、大人気となり、全国へと広まっていった。
チューハイと呼ばれ、庶民に愛飲されるようになってからは、焼酎独特のクセを和らげる「元祖焼酎ハイボールの素」も、東京・下町から誕生した。

やはり東京・下町の赤ちょうちんといえば、チューハイやサワー、ホッピー、焼酎、日本酒など日本独自の安価で庶民的なお酒が似合う。
そして東京・下町の路地裏には、赤ちょうちんがよく似合うのだ。
背伸びをしない、庶民的な風土があるからこそ根付いた、下町の大衆居酒屋の文化にはなぜだか惹かれるものがある。
それはちょうちんが赤いせいなのか、下町の吸引力なのかはわからないが、万人を受け入れてくれる東京・下町の赤ちょうちん。ぜひそののれんをくぐってみてほしい。

酎ハイ、チューハイ、ハイボール・・・・・・呼び方はいろいろ

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日本のパブリックスペース「居酒屋」。赤ちょうちんに誘われる

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最近は黄色いちょうちんや緑のものも見られるが・・・・・・

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