東京下町の歴史を楽しんだり、浅草やグルメを堪能しながら観光名所を巡る東京下町の観光情報誌

[2014年3月 更新]

四季折々の草花が観賞できる「向島百花園」

もともとは文人墨客のサロンとしても利用されていた「向島百花園」。現在は都の庭園として運営されている。その魅力を探ってみよう。

※ここで表記されている価格は全て、2014年3月までのものです。

四季折々の草花が観賞できる「向島百花園」

東京下町観光スポット

「向島百花園」

東武スカイツリーラインの東向島駅から西へ向かって歩くこと約8分、明治通りを渡ると、東京の下町らしい佇まいの住宅街のなかに、緑に包まれた「向島百花園」が見えてくる。

百花園の歴史は古く、開園は200年以上も昔の1805年(文化2年)。骨董商を営む佐原鞠塢(さはらきくう)が、交遊のある文人墨客たちの協力を得て造った庭園だ。
360本もの梅の木を植えたことから、当時亀戸にあった「梅屋敷」に倣って「新梅屋敷」と呼ばれていたという。その後、詩経や万葉集など、日本や中国の古典に詠まれるような植物を集め、四季を通じて花が楽しめるようになった。「百花園」の名は、「梅は百花に魁けて咲く」や「四季百花の乱れ咲く園」という意味からきているといわれている。

文人墨客のサロンとしても利用されていた向島百花園は、開園以来、民営の庭園として長い歴史を経てきたが、明治以降は都市の近代化や洪水などの自然災害に遭うなど、一時は園内が荒廃したこともあった。その後1939年(昭和14年)、東京都に譲渡され、都立公園として再出発を果たす。
1978年(昭和53年)には、文化財保護法により、国の史跡および名勝に指定されている。

同じく都立公園の小石川後楽園や六義園といった大名庭園とはひと味違い、一流の文人墨客たちの手によって造られた向島百花園は、庶民的で文学的な趣きを残す庭園として親しまれてきた。
百花園の名にふさわしく、四季折々に見せる表情は訪れる人を飽きさせることがなく、文人墨客たちの構想通り、開園から200年以上も経った現在でも、花を通して季節を楽しむことができる。

早春の百花園は、200年の歴史がある梅が咲き誇る

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可憐に咲くこの梅の名は「道知辺(みちしるべ)」

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こんな都心でもフキノトウが見られるのだ

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梅雨といえばアジサイ。これは「スミダノハナビ」という、この背景にもってこいの品種だ

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こちらも梅雨時期の花、ハナショウブ

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田島祇園祭がよくわかる展示コーナー

向島百花園の見どころを紹介しよう。
まずは季節を愛でる草花だ。早春の梅にはじまり、桜、5月のフジ棚、萩のトンネルや春夏秋の七草など、季節の風情を堪能できる野草が数多く見られる。
恵まれた自然環境なので、野鳥や昆虫たちもたくさん集まってくる。特に秋は、演奏会さながらに奏でる虫たちの鳴き声が楽しめるのだ。

そして史跡。かつて鞠塢(きくう)の庭造りに協力した一流の文人墨客たちの足跡がいたるところにある。たとえば、入口付近の庭門には蜀山人(しょくさんじん)の名で知られる文人・大田南畝(なんぽ)の扁額(へんがく)がかかげられ、両脇には詩人・大窪詩仏が書いた 「春夏秋冬花不断」「東西南北客争来」の木板がかけられている。ほかにも芭蕉の句碑などの史跡が随所に立ち、百花園の歴史深さを感じさせてくれる。
また、創設者・鞠塢が信仰していた七福神のひとつ「福禄寿」が園内に祀られている。

入園料は、一般が150円(65歳以上は70円/小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料)。みどりの日(5月4日)と都民の日(10月1日)は無料公開される。
都心にありながら、風光明媚な自然の景観と、かつての趣きを保った向島百花園は、一度や二度訪れただけではその全貌がわからないほど奥行きのある庭園だ。

8月には恒例の「虫ききの会」が開催され、夜の庭園が楽しめる

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秋の十五夜には、江戸時代から続く伝統行事「月見の会」が開かれる

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名物「萩のトンネル」はぜひくぐりたい!

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晩秋にはみごとな紅葉も見られる

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都心の庭園も雪吊で冬支度

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雪景色の向島百花園は、都心とは思えないほどの静けさだ

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スポットデータ

向島百花園

【向島百花園】
住所:東京都墨田区東向島3丁目
URL:http://teien.tokyo-park.or.jp/contents/index032.html
TEL:03-3611-8705(向島百花園サービスセンター)
●東武スカイツリーライン東向島駅より徒歩約8分