東京下町の歴史を楽しんだり、浅草やグルメを堪能しながら観光名所を巡る東京下町の観光情報誌

[2014年8月 更新]

夏に欲しくなる下町の甘味を紹介

向島と浅草にある甘味処を紹介。歴史ある老舗と新規オープン店、食事も食べられる人気店の、厳選された3店だ。

夏に欲しくなる下町の甘味を紹介

夏にぴったりの甘味処は
東京下町の風景にもぴったり

東京下町の夏の風景を思い浮かべてみよう。
縁側、風鈴、すだれ、スイカ、金魚売り・・・・・・そんなイメージが浮かんでくる人も多いだろう。
そんななか子どもたちを歓喜させたのが、おいしいかき氷やあんみつなどの甘味ではないだろうか。
もちろんそれらはお店や屋台でも人気だっただろうし、各家庭でも食べられていただろう。ゴリゴリと手動で削るかき氷機や、頂き物のみつ豆の缶詰を親の許しを得て食べながら、兄弟と喧嘩をしたりと・・・・・・そんな光景は、東京下町の定番だったのかもしれない。

当時から東京下町には甘味処のお店がたくさんあった。そこは決して子ども向けではなく、散歩をする大人がひと休みをする、江戸時代の茶屋のようなものだったかもしれない。そしてそれらのお店は、現在の東京にもしっかりと残っている。
お店は、やはり浅草から向島あたりの下町に多いようだ。
古くから残る深い歴史のある甘味処と、徐々に定着してきた人気店、新規参入のあんみつ専門店までを紹介してみよう。

夏はかき氷! これは日本全国共通か

夏はかき氷! これは日本全国共通か

東本願寺を裏から見る。浅草や墨田区はお寺も多い。その近くで甘味処で涼む、というのも下町の粋だ

東本願寺を裏から見る。浅草や墨田区はお寺も多い。その近くで甘味処で涼む、というのも下町の粋だ

【甘味茶房 菊丸】

かっぱ橋道具街の近くの小さい店は
食事も甘味もいただける大人気店

東武スカイツリーラインの浅草駅から雷門方面へ向かい、そのまま西の合羽橋方面へ真っ直ぐ歩く。もうすぐかっぱ橋道具街、というところで左手に東本願寺が現れる。その真裏に位置するのが、「甘味茶房 菊丸」だ。
小さな入り口だが、ショーケースを見るとあんみつからパフェ、お食事まで揃っている。しばらく見ていると、お客さんが次々に吸い込まれていくように入店。
決して人がたくさん通る道ではない場所なのに、これだけ人気があるということは、味に定評があるのだろう。

お店は2008年(平成19年)にオープン。かっぱ橋道具街の通りにも看板を出させてもらっているので、道具街に遊びにきた人が寄っていくパターンが多いという。また、最近は地元の常連さんも増えてきたとのこと。

メニューはまずあんみつを中心に紹介しよう。
定番のあんみつ、みつ豆に、豆かん、ソフトクリームをつけたソフトあんみつ、ぜんざい、パフェなどがある。
白玉を多めにした白玉ソフトあんみつやクリーム白玉ぜんざい、抹茶白玉あんみつなどがあり、黒蜜きな粉を使ったものや黒ごまをアレンジしたものもある。
濃抹茶パフェに使われている抹茶アイスも人気が高い。

また、オリジナルあんみつとして、「あんみつベルサイユのバラ」や「男のあんみつ大吟醸」「海のあんみつ塩バニラ」などもある。ちょっとだけ変わり種を試したいときはぜひ!

「あんみつ」(670円)は白玉やフルーツと優しい味のえんどう豆がたっぷり入り、こだわりの寒天が脇を固めている。黒蜜がついてくるので、トロリとかけていただこう。

おいしさの秘密は素材にもあった。
あんこは北海道十勝産の豊祝小豆を使用。皮が薄く、香り高い上品な味わいが特徴といわれている。
寒天は粉末などの添加物は使用せず、伊豆稲取、須崎、三宅島などの名産“天草(てんぐさ)”をブレンド。深い風味と食感が楽しめる、食物繊維豊富な寒天ができあがっている。
沖縄の黒糖を使った黒蜜と、北海道富良野産の赤えんどう豆という南北のハーモニーも絶品。
人気の抹茶アイスも京都の老舗から仕入れた抹茶をふんだんに使用することで、あの濃さが生み出されている。渋みと甘みという大人向けのアイスをご賞味あれ。

ボリューム感満点のオーソドックスなメニュー「あんみつ」

ボリューム感満点のオーソドックスなメニュー「あんみつ」

「あんみつ」最中の皮がアクセント

「あんみつ」最中の皮がアクセント

「甘味茶房 菊丸」。東本願寺の裏の道にある

「甘味茶房 菊丸」。東本願寺の裏の道にある

四季限定の甘味や
お食事メニューも充実

「菊丸」では四季の限定おすすめメニューも提供している。
春は桜アイスを使ったあんみつや白玉ぜんざい、秋は和栗アイスをアレンジ、冬はかぼちゃアイスを、という具合だ。それぞれ見ているだけでワクワクしてくるようなかわいらしい逸品ばかり。毎シーズン通いたくなってしまう。

そして夏といえば、やはり氷だ。
抹茶しぐれや宇治金時、キャラメル氷あずきなどが次々にあちらこちらのテーブルに運ばれてくる。
「抹茶しぐれ」(900円)は、濃抹茶アイスと小倉アイスがダブルで載った氷に、宇治金時ミルクがかかった贅沢な品。白玉も添えられている。
氷にも特徴があり、純氷を使っているとのことだ。純氷というのは、天然水や水道水を濾過することで不純物を取り除いた純度99.9%の氷。マイルドな食感と溶けにくく透明感のある氷となるらしい。

ふんわりと盛られた氷は、スプーンで押すと柔らかく沈む。それでもビチャビチャと溶けるわけではなく、ただ固まるわけでもない。溶けにくくふんわりとした氷の食感が長く続くようだ。ふたつのアイスはいずれもモチモチとしていて、のびるよう。食べ応えがあるのだ。
これを食べれば、こだわりの抹茶に「なるほど」と思えるだろう。
広くないお店では隣の席に来た氷にもつい目がいってしまう。キャラメル氷あずきもとてもおいしそうだった。

また、食事メニューも人気がある。
なすビーフカレーや下町ハヤシライスなど、「むむ?」と思ってついオーダーしたくなるメニューが揃っているのだ。
「穴子入り五目ちらし寿司」(1000円)はカンピョウやシイタケなどの五目ちらしの具材に、隠し味として京都から取り寄せている五目ちらしの素を使用。油揚げやちりめんじゃこ、ご飯にほんのりと酢が利いている。それほど強い酢飯! という感じはない。そしてそこに穴子が贅沢に載せられているのだ。
11時半から14時半のランチタイムにはドリンクとデザートがサービスでつく。

土日はひっきりなしにお客さんが訪れ、平日でもほぼ満席に近い。料理を作る店主は大忙しだ。
そこにはおいしいからという立派な理由があった。

どどーんと運ばれてきた「抹茶しぐれ」

どどーんと運ばれてきた「抹茶しぐれ」

量は多く見えるのだが、食べてみると氷のキンキンした感じは少ない。それが純氷ならではというところなのだろうか

量は多く見えるのだが、食べてみると氷のキンキンした感じは少ない。それが純氷ならではというところなのだろうか

「穴子入り五目ちらし寿司」。すべてを混ぜたタイプのちらし寿司ではなく、上品な盛りつけだ

「穴子入り五目ちらし寿司」。すべてを混ぜたタイプのちらし寿司ではなく、上品な盛りつけだ

ポテトサラダとお吸い物つき。ランチタイムにはこれにデザートのあんみつと飲み物がつく。お得!
サラダも申し訳程度につくのではなく、しっかりした一品
サービスのデザート。ソフトまでついている
定番商品はお土産もあり

店舗データ

甘味茶房 菊丸

【甘味茶房 菊丸】
住所:東京都台東区西浅草2-4-1 福島ビル1F
URL:http://kanmidokoro-kikumaru.com/
TEL:03-3841-8320
営業時間:11:30~19:00(L.O.18:30)
定休日:不定休
●東武スカイツリーラインの浅草駅より徒歩約11分

【言問団子(ことといだんご)】

160有余年の歴史を誇る団子屋は、
墨田の文人の交流の場でもあった!?

浅草駅がある台東区から隅田川を渡ると、そこは墨田区。
隅田川近くの墨堤通りにあるのが、江戸時代に創業した160年以上の歴史を持つ団子屋「言問団子(ことといだんご)」だ。
歴史が深いだけあり、訪れた偉人文人も多い。店に受け継がれてきた色紙には、NHK朝の連続ドラマでもモデルとされている「赤毛のアン」の翻訳者である村岡花子や、宇野千代、平林たい子ら女流作家のサインが寄せ書きされている。この店を中心とした交流があったのだろうかと想像すると、少し胸が躍る。村岡花子さんはみんなと仲良くやっていたのだろうか、なんて・・・・・・大きなお世話だけど。

竹久夢二の「夢二日記」にも登場する。「こととひのおだんごがとにかくおいしい」とという一文がある。

さてそのお団子。
種類は黒白黄のみっつ。創業期からあるのが、お米の粉を餅状にした団子を小豆餡でくるんだ黒、白餡で包んだ白だ。そして明治期に生まれたのが、白玉粉を餅状にしたものにクチナシの色粉で色付けし、なかにみそ餡を入れた黄色。
黄色だけがまわりが餅状の団子でなかが餡、黒と白はまわりが餡でなかが餅状の団子というのがおもしろい。

見た目もとても美しい球体になっていて、形を崩すのがもったいなく思えるほど。
食べてみると、「なるほど、これが昔ながらの“団子”なんだろうな」と感じてしまう。餡はたっぷりとついているのだが、ただ甘さを押してくるわけではなく、しっかりと餡の味が楽しめるのだ。
前情報なく黄色を食べるとまわりが餡ではないことに、「んん!?」と思うが、これもまたおいしい。

持ち帰り用も6個入りから各種揃っている。
ただし、賞味期限は短い。その日のうちにいただくのがいいとのことだ。余計な添加物は使われていないのだから当然だろう。最近ではあまりいわれない、「お使いもの」として重宝されたというのもうなづける。
いまは隅田川周辺の散策に来た人が立ち寄ることも多い。

ほかには都鳥型の言問最中もあり。小豆餡と白餡の2種類。こちらは要予約だ。

店内には上記の色紙や団子制作の道具、書などの展示コーナーもある。
夏の散策途中で疲れたときの、贅沢な一服を楽しんでみよう。

これほどまでに美しい球体の団子を見たことがありますか? 味も上品!

これほどまでに美しい球体の団子を見たことがありますか? 味も上品!

「言問団子」。歴史ある大きな茶屋という感じ。この地に文人も多く訪れたと思うと感慨もひとしお

「言問団子」。歴史ある大きな茶屋という感じ。この地に文人も多く訪れたと思うと感慨もひとしお

ショーウインドウの「言問最中」。おいしそう

ショーウインドウの「言問最中」。おいしそう

店内はテーブル席と座敷席
明るい店内。展示コーナーもぜひ見ていこう
お土産の6個入り。持ち歩いたら少し形が崩れてしまった。本来はもっと美しいのです
串に刺さったものをバクバクっと食べる、というイメージとは違うお団子。文人の女性が集ったというのもわかる気がする

店舗データ

言問団子(ことといだんご)

【言問団子(ことといだんご)】
住所:東京都墨田区向島5-5-22
URL:http://kototoidango.co.jp/
TEL:03-3622-0081
営業時間:9:30~18:00
定休日:火曜日
●東武スカイツリーラインのとうきょうスカイツリー駅より徒歩約12分

【あんみつの深緑堂】

新たに開業した下町のあんみつ専門店は
こだわりが詰まった手仕事あんみつ屋だった

「言問団子」から東武スカイツリーラインのとうきょうスカイツリー駅に向かって歩き出すと、緑色の看板が目に入る。
「あんみつの深緑堂」だ。
こちらは2014年の3月にオープンしたばかりの新規店。基本的にあんみつ専門店だ。
基本的に、というのは、夏はかき氷もあるし、甘味ではないところてんもあるので。

それでもメインメニューはあんみつという心意気がビシビシと感じられる。
まず寒天は神津島産、新島産、伊豆稲取産の天草を独自にブレンド。
こし餡は茹でた小豆を竹ざると馬毛のこし器を使って毎日手作りをするという昔ながらの製法。
黒蜜は沖縄県の波照間島産と西表島産の黒糖をブレンド。
あんずは長野県産の希少なものを使用したドライあんずだ。

すべて手がかかっているのだが、特に小豆から手作りをしているこし餡づくりは毎日の作業。ということで、あんみつは1日限定50食となっている。これはお土産を含めた数だ。
店は店主ひとりで切り盛りしている。大量生産なんてとてもできないのだが、素材やひとつひとつの作り方にはとてもこだわりを持っているのだ。
その店主は新宿の某有名団子屋で働いて修業をしていたという。晴れて独立をしたわけで、自分のこだわりを貫くのは当然のこと。
そしてそんなこだわりの味を好きになってくれるお客さんがしっかりと増えてきている。
お客さんは散策帰りの人や、地元の人、そして口コミというかインターネットで知った人が来てくれることも多いという。店のホームページはないのだが、個人のブログで広まっているらしい。

さて、メインのあんみつ。
こし餡と寒天に白玉という定番に加え、大きなあんずが載っている。こし餡の上にはクルミと赤すぐりの実(レッドカラント)がちょこんと載っている。
黒蜜をまわしかけていただくと、なんとも贅沢な気分になってしまう。いや、あんみつって贅沢なものじゃないのだけど・・・・・・。
もちろん、「深緑堂」が贅沢で高価なあんみつを提供しているわけではなく、その盛りつけの彩りや手間をかけた具材やこだわりの素材から、しっかりと「いただきます」という気持ちになってしまうのだ。
それは悪いことではない。
だからといって敷居が高いわけでもなく、物腰の柔らかい店主は、この地でも人気を集めるのだろうなという予感がする。

店内ではほかに、ところてんやかき氷などがいただける。お土産はあんみつとところてん。

近くの桜橋に来た観光客や向島・隅田川散策の人たちをターゲットにしつつ、墨田区近辺在住の地元の人々から熱い視線を受けているあんみつ専門店。
いまのこだわりを妥協することなく、老舗と呼ばれるまで続いてほしい、美味を提供してくれる店だ。

「あんみつ」(600円)。バニラアイス付きだと+150円。あんみつのなかにアイスが入ってくるクリームあんみつではなく、別皿でくるあたりもこだわり。お客さんのよきところでアイスをあんみつに入れればいいのだ

「あんみつ」(600円)。バニラアイス付きだと+150円。あんみつのなかにアイスが入ってくるクリームあんみつではなく、別皿でくるあたりもこだわり。お客さんのよきところでアイスをあんみつに入れればいいのだ

彩りも鮮やか。白玉も作り立てを出すようにしているという

彩りも鮮やか。白玉も作り立てを出すようにしているという

店名のとおり、深い緑が目を引く外観

店名のとおり、深い緑が目を引く外観

決して広くはない店内。時間によってはお客さんでひしめきあう

決して広くはない店内。時間によってはお客さんでひしめきあう

こちらはお土産用のあんみつ(480円)

こちらはお土産用のあんみつ(480円)

お土産用のところてん(480円)
店内に置かれていたレッドカラント

店舗データ

あんみつの深緑堂

【あんみつの深緑堂】
住所:東京都墨田区向島5-27-17
TEL:03-6658-5449
営業時間:11:00~18:00(L.O.17:00)
定休日:木曜日
●東武スカイツリーラインのとうきょうスカイツリー駅より徒歩約9分

その他の東京下町グルメ

草餅

「草餅」

向じま 志″満ん草餅

和菓子

「和菓子」

江戸昔菓子 あさくさ梅原