東京下町の歴史を楽しんだり、浅草やグルメを堪能しながら観光名所を巡る東京下町の観光情報誌

[2014年1月 更新]

浅草のお好み焼き・もんじゃ焼き屋3軒を紹介

浅草でお好み焼きともんじゃ焼きを中心に各席に鉄板があるお店を3軒紹介。50年以上営業している老舗や、粋な女将さん、明るい女将さんに会える名店で腹いっぱいもんじゃ焼きとお好み焼きを食べちゃおう!

浅草のお好み焼き・もんじゃ焼き屋3軒を紹介

浅草もんじゃの名で親しまれる粉モノ食
下町発祥ゆえに愛されるお好み・もんじゃ

小麦粉を水で溶いて焼いて食べる料理は、明治以前からあったという。はじめは味噌、餡、ソースなどを巻いていたものだが、その後さまざまな具材を入れて焼くようになっていった。これがもんじゃ焼きの起源だ。
その後、水の量を調整することで、もんじゃ焼きよりも固めたお好み焼きが生まれる。こちらは最初から食事としての地位を得ていたようだが、もんじゃ焼きは違った。
昭和40年代くらいまでは東京下町を中心に駄菓子屋で子どもたちが食べるものだったのだ。
ところが1980年代に大人が食べるもんじゃ焼きブームが起き、現在のように多くのもんじゃ焼き屋さんが営業を開始した。

もともともんじゃ焼きを出す駄菓子屋が多かった浅草には、たくさんのお好み焼き・もんじゃ焼き屋がある。
現在はその具材の種類もバラエティに富んでいる。

フライ返しと鉄板。浅草粉モノ食文化の象徴

ソース、青海苔、かつお節、マヨネーズ。お好み焼きの必須4品

「浅草ビューホテル」裏
粋な女将さんの名店「文字家」

東武スカイツリーラインの浅草駅から合羽橋通り方面へ向かうと国際通り沿いに大きなホテルがある。「浅草ビューホテル」だ。その横の道を合羽橋道具街方面へ入ったところの路地に「文字家」がある。

創業は20年以上前で、店の場所柄、観光客よりも地元の人がたくさん通う名店だ。それでも最近は遠くからのお客さんが予約の電話を入れてくることも増えたという。
外観もとてもいい佇まい。店内は靴を脱いで上がる板張りの座敷で、ゆったりとくつろげる。
壁には来店した著名人の色紙とともに三社祭のポスターなどが貼られている。社長と女将さんはお祭りが大好きで、三社祭の日はお店も休業するという。
威勢のよさと優しさを併せ持つ女将さん。実のお姉さんはかのデン助劇団の女優さんだったらしい。
席に座ると、笑顔で接客する店長さんが、
「いい香りがついてしまいますので上着をこちらの袋に入れておきます」
と言ってくれる。確かに家のような店内で焼くわけだから、料理の匂いがつきそうだ。
メニューはもんじゃ焼き、お好み焼き、鉄板焼きが各種そろっている。

「文字家」店内。落ち着ける雰囲気

各客席の鉄板はかなり厚いものを使っている

「文字家」
住所:東京都台東区西浅草3-12-8
TEL:03-3841-0038

予想以上の美味、鉄板焼きと
自慢のソースでおいしくなるお好み焼き

「文字家」のもんじゃ焼きとお好み焼きのいちばん人気をいただく。
と、その前に鉄板焼きも人気があるというので紹介しよう。
鉄板焼きメニューは壁に貼られている。どれも人気が高いらしいが、「いか丸焼き」(600円)と「葱バター」(350円)を紹介。
調理は自分でしてもいいし、店長さんにお願いしてもいい。
1杯丸ごとのイカと長ネギをバターと一緒に鉄板へ。火が通ったら醤油と七味をかけてできあがり。食べる前にイカとネギを混ぜてもらった。
醤油味の普通の鉄板焼き・・・・・・ではあるのだが、これがまた絶品。醤油に秘密があるのかと思ったらそうでもない。普通の醤油だ。バターと混ぜ合わせることと、鉄板の火力によってこの味になるらしい。
もんじゃ焼きとお好み焼きを焼く前に箸が進んでしまった。

お好み焼きの「三社焼」(880円)は生エビ、生イカ、タコ、豚、桜エビ、卵がたっぷりと入っている。ボリュームたっぷり。
具と生地をゆっくりと混ぜる。ここでよく混ぜておかないと返すときにバラバラになってしまうとのこと。
均等な厚さにしたらじっくりと時間をかけて焼く。片面が焼けたらひっくり返す。このとき、フライ返しで円周部分だけを軽く押さえる。真ん中を押さえてしまうとなかに入った空気が潰れてしまって食感も変わってしまう。両面が焼けたら切り分けてからソースをかける。そうすると断面にもソースが行き渡っておいしくなる。青海苔とかつお節、お好みでマヨネーズをかけて完成。
ふわふわで具がたっぷりのお好み焼きだ。ソースの味もいい。いちばん人気に納得。

「いか丸焼き」のイカ

「葱バター」

駄菓子屋のもんじゃを思い出させる「ふわせん」
麺入りのもんじゃはボリュームたっぷり

「文字家」のいちばん人気もんじゃは、牛、桜エビ、切りイカが入ったもの。680円。もんじゃはすべて麺が入っている。地元の製麺所で作られた、太めの焼きそば麺だ。
さらにもんじゃ焼きの相棒「ふわせん」(10枚50円)もある。薄くて軽いソースせんべい(ソースはついていない)にもんじゃを乗せていただくのだ。

もんじゃ焼きはお好み焼きと違って、あっという間にできる。そこが好きという人も多い。カリカリに焦げたところもおいしいし、トロトロしている部分もおいしい。この価格でこのボリュームはかなりお得だ。
そして「ふわせん」に乗せて食べるとこれまた新しい食感でさらに食べ進めてしまうはず。まさに駄菓子屋発祥のもんじゃ焼きだ。50代以上は懐かしく感じるのではないだろうか。
隣のテーブルの5人グループは「ふわせん」20枚を追加注文していた。

もんじゃ焼きの「一番」

外国人から地元ファミリーまで幅広い客層で
女将さんの快活トークが楽しめる店「七五三」

浅草寺から合羽橋道具街方面へ行き、上野と東京スカイツリー®を結ぶ通りに位置するのが「浅草もんじゃ 七五三」。
1998年創業で、息子さんが5歳のときにオープンしたので店名を「七五三」とした。開店当時からの常連さんは、「息子さんはもう20歳か」と覚えていてくれるという。

もんじゃ焼きやお好み焼きの粉は大阪から仕入れ、神戸の老舗からは辛口どろソースを取り寄せている。餅は新潟から、豚肉は山形からそれぞれ仕入れるなど、とことん厳選した素材を使用。さらに関西風の自家製牛すじや自家製キムチ、自家製サラダドレッシングなどにもこだわりが見られる。
初めての人におすすめという、オーソドックスなお好み焼きともんじゃ焼きがセットになった「七五三おためしセット」もある。それもそのはず、とにかくメニューの種類が豊富なのだ。迷ってしまうし、帰るときには、「次回はこれを食べよう」と思わずにはいられない。

「七五三」

味わいのある店内に貼られたメニューの文字

ほかの店にはないもんじゃとお好み焼き
種類も女将も唯一無二の店だった

「七五三」の「カレーコンビーフもんじゃ」(1480円)は人気がある。
具はコンビーフ、チーズ、丸餅、コーン、味付き牛そぼろ、ニンニク、桜エビ、切りイカ、揚げ玉、キャベツで、オリジナルにミックスしたカレー粉が入る。かなりボリュームたっぷりだ。
熱いうちに柔らかいお餅を食べよう。
カレー味だが、それほど辛いわけではないので、子どもでもおいしく食べられそう。ここはファミリーでの来店も多く、子どもたちで賑わうこともあるという。みんなで楽しく食べられるお店なのだ。

お好み焼きの種類もとにかくたくさんあるのだが、ここはあえて「ネギたっぷり! 牛すじ、コンニャク入り」という「なにわ焼き」(930円)を紹介しよう。

お好み焼き、もんじゃ焼きとも、自分で焼いてもいいし、スタッフに頼んでもいい。スタッフは全員が焼きのプロでもある。
お好み焼きは驚きの厚さで上手に焼いてくれる。牛肉とコンニャクがとてもいい食感で混ざり合った逸品だ。「神戸辛口どろソース」はお好みで。本当に辛いのでかけすぎは注意。
ほかの種類も食べたいのだが、かなり満腹になるので、さすがに2枚目は注文できない。おのずと再訪することになる。

外国人観光客もたくさん訪れるらしく、スタッフは英語や中国語に堪能な人ばかりとのこと。グローバルな厳選素材のお好み焼き・もんじゃ焼き屋なのだ。

「カレーコンビーフもんじゃ」。細かく刻んだ具で土手を作り、生地を流し込む

お餅を入れて、焼けたらチーズを乗せて完成

創業50年以上の老舗で食べる
関西元祖の「トン平焼き」

仲見世通りの近く、ホッピー通りにあるのが、50年以上の歴史を持つ老舗「つくし」だ。
もんじゃ焼き、お好み焼きともに種類が豊富なのだが、この店には関西名物の「トン平焼き」(650円)がある。

各テーブルに鉄板はあるのだが、トン平焼きはより火力が強い店の鉄板で作ってもらって運ばれてくる。東京で食べられるトン平焼きは豚肉が食べやすいサイズに切られている場合が多いのだが、「つくし」は本場に倣い、大きな豚肉をそのまま焼いている。モッチモチの生地は絶妙な水加減で粉を薄めたものを、厚く火力の強い鉄板で焼くことによって作られるもの。プロの味だ。真ん中に乗せられたプルプルの卵も素人には作れないかもしれない。

お好み焼きの「デラックス天」(800円)もテーブルではなく店の鉄板で焼いてもらえる。これも火力が必要なのだ。
イカ、エビ、ひき肉、豚バラ肉など、ほとんどの具材が入った分厚いお好み焼きで、こちらも割ると真ん中にプルプルの卵が現れる。

その他のお好み焼きはテーブルでお客さん自ら焼くことができる。

「トン平焼き」はお店の人が上手に焼いてくれる

真ん中に卵を落として

麺が違う、味が違う!
ここだけの「焼きソバ」は食べる価値大!

もうひとつ店の鉄板で焼いてもらえるメニューが「焼きソバ」(600円)だ。
こちらは味付けも含め店員さんにお任せしたほうがいいということなのだろう。だからこそ絶品の焼きそばが食べられるのだ。

太麺はほかにはない食感とおいしさ。それもそのはず、京都の麺屋から取り寄せているものなのだ。なかなか東京の店には卸してくれない店の麺だが、ようやく10年ほど前から仕入れることができるようになったという。
「焼きそばなんてどこの店にもある」と思うなかれ、「つくし」の焼きそばは「つくし」にしかないのである。


浅草に息づいている粉モノ食文化、紹介したのはホンの一部だ。その他の店もぜひ訪れてみてほしい。

「焼きソバ」もプロにお任せ

記事で紹介したグルメスポット

こぐま

「浅草もんじゃ 七五三」

東武スカイツリーラインの浅草駅から仲見世通りを越え、さらに国際通りも越えて合羽橋道具街方面へ向かった道沿いにある。

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