両毛の歴史を楽しんだり、グルメを堪能しながら観光名所を巡る両毛の観光情報誌

[2014年8月 更新]

織物の街・桐生のお勧めグルメ

織物で栄えた桐生の街を彩る、バラエティ豊かな食文化を訪ねてみよう。

織物の街・桐生のお勧めグルメ

「麺処酒処ふる川 暮六つ 相生店」の「もりひもかわ」

その幅10センチ以上!? 究極の幅広麺に圧倒される

東武桐生線の相老駅から歩いて約5分。県道344号線沿いに「麺処酒処ふる川 暮六つ 相生店」はある。麺類を中心に提供するこのお店で選べる麺は3種類。そば、うどん、そして今回ご紹介する「ひもかわ」だ。
ひもかわ、とはなんぞや。それは簡単にいってしまうと、名古屋のきしめんのような幅広の麺である。もともと両毛地方では昔から食べられていた郷土食的な存在で、ひもかわというメニュー自体は、ここのお店だけでなく市内のいくつかのそば・うどん屋でも提供されているそうだ。ただし「ふる川」のひもかわに驚かされるのはその幅。通常であればせいぜい5センチほどといわれるひもかわなのだが、こちらのはゆうに10センチはあるというのだ。
メニューを開くと、「もり」や「たぬき」といったそば・うどんの定番メニューが並んでおり、そのすべてでひもかわを選ぶことができる。
さっそく、一番ベーシックなメニューとしてお店のかたがお勧めしてくれた「もりひもかわ」を注文する。待つことしばし。やはり幅広麺だけあって茹でるのにも時間がかかるんだろうななどと思いながら店内を眺めていると、平日だというのに開店直後から次から次へとお客さんが来店する。尋ねてみると、市内はもちろん遠く県外からもわざわざやってくるとのこと。週末などには開店と同時に満席になることも珍しくないそうだ。恐るべし、ひもかわ。
やがてやってきた、もりひもかわ。予備知識はあったとはいえ、それでも驚かざるをえないのはその幅である。とてもではないが、うどんやそばのように「ツルツルッ」といただくわけにはいかない。ひもかわを1枚(もはや1本ではない)つけ汁にとり、適当なところまで口に含んだらかみ切る。冷水でよくしめたひもかわのつるりとした食感がなんとも爽やかだ。そして、かむごとに小麦の香りが鼻を抜ける。見た目から想像するよりコシもしっかりしていて食べ応え十分だ。パッと見にはちょっと少なめかなとも思ったのだが、よくかんで食べるからだろうか。食べ終わるころにはお腹いっぱいとなる「もりひもかわ」であった。
ちなみにこちらのお店、夜は麺類に加えて居酒屋営業も行っているとのこと。店内にずらりと並べられていた焼酎の数々に、次は夜に訪れてみたいと思わずにいられないのであった。

休みの日には開店前から店の前に行列ができる

休みの日には開店前から店の前に行列ができる

落ち着いた店内。椅子席と板の間席が用意されている

落ち着いた店内。椅子席と板の間席が用意されている

これが「もりひもかわ」。ツルンとした外観が食欲をそそる

これが「もりひもかわ」。ツルンとした外観が食欲をそそる

「ひもかわ」の麺はこんなに幅広い。ゆうに10センチはあるか
壁に並べられた銘焼酎の数々。夜は居酒屋としても利用可能

店舗データ

麺処酒処ふる川 暮六つ 相生店

【麺処酒処ふる川 暮六つ 相生店】
住所:群馬県桐生市相生町2-735-15
TEL:0277-47-8190
営業時間:11:00~14:00、17:30~23:30
定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日休み)
●東武桐生線相老駅から徒歩約5分

「若宮」の「京風ゆば懐石」

のこぎり屋根のお店で味わう絶品豆腐料理

桐生市中心部より東へ向かい、やがて清流中学校へと突き当たるところに「若宮」はある。訪ねてみてまず驚くのがその建物だ。絹織物の街・桐生を象徴するのこぎり屋根の元工場をそのまま店舗として改築しているのだ。元工場とはいっても、内装はモダンな和風インテリアにまとめられており、小上がりの中央には囲炉裏も据えられている。お店のかたは「天井が高いぶん冬は寒くて……」というが、お客さんからは「落ち着く」「懐かしい」と評判だ
もともと豆腐店として開業したのは、市内から車で30分ほどかかる桐生川上流域とのこと。桐生川上流域といえば周囲を鬱蒼とした樹林に囲まれた山林である。なぜわざわざそんなところで、思いかけて気がついた。桐生川源流林といえば、林野庁から「水源の森百選」にも選定されるほどの名水の産地だ。良質の水が必要な豆腐づくりには絶好の場所だろう。現在の場所に店を移してからも、使用している水は当然桐生川源流林の水。大豆ももちろん国内産だ。
こちらでいただくのは、ランチタイムに出される「京風ゆば懐石」。自家製の豆腐やゆばをさまざまな料理に仕上げて出してくれる。まずは自慢の刺身ゆばをいただいてみると、そのクリームのようなとろりとした食感に、これがゆばなのかと驚かさせる。こんにゃくの白和えもこれまた濃厚。使われているこんにゃくも自家製とのことだ。それに対して豆乳鍋は想像したよりあっさりとしていて、それまでとは一転、変化する舌の上のコントラストが楽しい。ゆば寿司は味付けしたゆばを酢飯に合わせたもの。豆腐のハンバーグは、カリッと焼かれた表面に対して、なかはホロホロとした柔らかさ。ちなみにこれらの料理にはどれもゆばが使われているのだが、それぞれ料理に合わせて異なったゆばを用いるというこだわりぶり。
豆腐店も併設されているので、豆腐やゆばをはじめとしてこれらの料理のいくつかは店頭で直接購入することも可能だ。

のこぎり屋根が特徴的な「若宮」の店構え

のこぎり屋根が特徴的な「若宮」の店構え

天井が高く開放的な小上がり席。中央には囲炉裏が

天井が高く開放的な小上がり席。中央には囲炉裏が

これが「京風ゆば懐石」。この品揃えで1575円はうれしい

これが「京風ゆば懐石」。この品揃えで1575円はうれしい

「若宮」一番のお勧め「刺身ゆば」。トロリとした食感と濃厚な味がたまらない
併設の店舗では豆腐やゆばを購入可能

店舗データ

若宮

【若宮】
住所:群馬県桐生市東5-4-27
TEL:0120-123-139
営業時間:11:30~14:00、予約のみ17:00~21:00
定休日:日月曜日、年末年始
●東武桐生線桐生駅からタクシーで約15分

「宝徳寺」で精進料理を経験する

肉や魚を使わない、精進料理の真意とは

桐生市川内町にある宝徳寺は、1450年頃(室町時代の宝徳年間)に創建された臨済宗のお寺だ。東武桐生線赤城駅からタクシーで10分ほど。大間々を抜けて県道388号線を北上し、やがて左への道を入るとお寺が見えてくる。周囲を山林に囲まれた本堂は、たとえ信心深い者でなくても厳粛な気持ちにさせてくれるような厳かさだ。本堂は禅宗方丈様式と呼ばれる造りで、これは禅の精神が反映された簡潔な様式なのだそうだ。そして本堂の隣りに並ぶ建物が庫裏(くり)。庫裏とはお坊さんの住む場所や台所を意味しており、宝徳寺は、この庫裏で一般の人に精進料理を供してくれることでも知られている。
そもそも精進料理とはどういうものなのか。ご住職に教えていただくまでは、てっきり「肉や魚を使わない料理=精進料理」とばかり思っていたのだが、実際にはそればかりではないらしい。食べるにあたっては、日頃、自然界のさまざまな生命をいただくことによって自分たちが生きているということを鑑み、いただいた命のぶんまで生をまっとうすべく精進する(努力する)ことを意識するのが大切なのだそうだ。精進料理の「精進」とはそういう意味だったのか。健康によいだろうくらいに考えていた自分を反省。
さて、こちらで出していただける精進料理。季節によって献立は変わるものの、けんちん汁やピリ辛こんにゃく、ゆばの揚げ物、ごま豆腐、茶飯など、質素ながらどれも精進料理としては伝統的なものばかり。そのレシピは、ご住職が京都嵐山の天竜寺で修行をした際に身につけたものが基本になっているそうだ。静寂が支配するお寺のなかで、ときにはこんな禅味を味わいながら日頃の生活を顧みるのもいいだろう。
ちなみに精進料理をいただくには、3日前までに3名以上での予約が必要だ。一人前3000円にて。また例年10月中旬から11月中旬にかけては、境内に植えられた1000株の小菊が咲き誇り、モミジが赤く黄色く染まるなか「小菊と紅葉まつり」も催される。これに合わせて訪ねてみるのもよいだろう。

背後に山林をしたがえた宝徳寺。正式名称は「臨済宗 大山 宝徳寺」

背後に山林をしたがえた宝徳寺。正式名称は「臨済宗 大山 宝徳寺」

庫裏の内部。精進料理はこの部屋でいただく

庫裏の内部。精進料理はこの部屋でいただく

本堂。キリッと張りつめた空気に身が引き締まる

本堂。キリッと張りつめた空気に身が引き締まる

これが精進料理のコース。季節によって献立は変わる
見事に手入れがされた石庭。これだけでも訪れる価値あり

店舗データ

宝徳寺

【宝徳寺】
住所:群馬県桐生市川内町5-1608
TEL:0277-65-9165
3日前までに3人以上で予約のこと
●東武桐生線赤城駅よりタクシーで約10分

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