両毛の歴史を楽しんだり、グルメを堪能しながら観光名所を巡る両毛の観光情報誌

[2014年4月 更新]

両毛のB級グルメを食べ歩く

佐野、桐生、足利……。両毛地域の各都市には、さまざまなB級グルメが存在する。今回はそんなご当地の自慢料理を食べ歩こう。

※ここで表記されている価格はすべて、2014年3月時点のものです。

両毛のB級グルメを食べ歩く

「コロリンシュウマイ」の「コロリンシュウマイ」(桐生市)

地元民にはお馴染み。桐生独特のシュウマイとは

東武桐生線相老駅から緩やかな上り坂を歩くことおよそ15分。もうそろそろかと思うころに、前方に「桐生名物コロリンシュウマイ」という大きな看板を掲げたお店が見えてきた。
いったい、コロリンシュウマイというのはどんなシュウマイなのか。ご主人に尋ねてみると、材料はじゃがいもと玉ねぎ、そして豚の脂肪のみとのこと。え、ちょっと驚く。だって普通シュウマイといったら肉やエビ、カニといった主役がいるはずではないか。しかしコロリンシュウマイにはそれがない。
いったいどんな味なんだろうと、できたてのアツアツをさっそくひとつパクリといただいてみると、おお、なんだろうこのモチモチ感は! これまでにあまり経験したことのない食感である。ふんわり漂う甘味はじゃがいも由来のものだろうか。そして全体にあっさりしたこのシュウマイにつけて食べるソースとの相性がまたベストマッチ。次から次へといくらでも食べられそうである。
ご主人にお話をおうかがいすると、どうやらこのモチモチ感の正体はじゃがいもらしい。この味を出すために北海道産のじゃがいもを3種類ブレンドし、さらに季節によって品種も変えているとのこと。いただく前には「主役がいない」などと失礼なことを思ってしまったが、そうではない。このシュウマイの主役はじゃがいもなのだ。
いっしょに食べるこのソースも、実はこちらのオリジナル。このシュウマイに合うソースを作りたい、ということで同じ両毛にあるソースメーカーと試行錯誤を続けてようやく完成させたのだという。だからだろうか、普通のソースだと口に入れた瞬間にどうしても辛味や酸味といった刺激が口に走るものだが、このソースはそれが弱く、さらにさらりとしているのでシュウマイにもからみやすい。ちなみにお店では、このソースも「コロリンソース」の名前で販売されている。
「コロリンシュウマイ」が地元で愛されているもうひとつの理由に移動販売もある。もう25年以上、市内各地でクルマによる移動販売を行っていて、いつもの場所・時間にはコロリンシュウマイを食べたいお客さんがちゃんと待っていてくれるのだそうだ。なかには自分が子どものころに食べた味を自分の息子にも教えようと、親子二代で買いに来る人もいるという。
今日、全国区でも知名度を上げつつある桐生のシュウマイ。もともとのルーツは同じ桐生市内に昭和初期からのれんを提げている大澤屋さんというお店なのだという。そこからレシピを教わり先代が店を開いたのが約50年前とのこと。それ以来独自の研究によって味を磨き続け、現在のご主人がようやく納得のいくものに仕上がったのが2年前。しかし、現在は息子さんも跡を継いでくれているとのことなので、三代わたってコロリンシュウマイの進化はこれからもさらに続くのだろう。

「コロリンシュウマイ」の外観。白地に「コロリンシュウマイ」の文字が映える

「コロリンシュウマイ」の外観。白地に「コロリンシュウマイ」の文字が映える

これが「コロリンシュウマイ」。モチモチッとしたシュウマイの食感にソースがよく合う

これが「コロリンシュウマイ」。モチモチッとしたシュウマイの食感にソースがよく合う

オリジナルのソースも人気で、単品での販売もしている

オリジナルのソースも人気で、単品での販売もしている

こちらは移動販売車。これで桐生の街をぐるりとまわる

こちらは移動販売車。これで桐生の街をぐるりとまわる

店舗データ

コロリンシュウマイ

【コロリンシュウマイ】
住所:群馬県桐生市相生町5-204-23
TEL:0277-53-8617
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜日(月1回火曜休業あり)
●東武桐生線相老駅より徒歩約15分

「志多美屋本店」の「ソースかつ丼」(桐生市)

カツに出来合いのソースをかけただけ、と思ったら大間違い

志多美屋本店は、桐生の街で創業以来90年近く店を開いている老舗だ。もともとは洋食屋さんとして開業し、繊維産業で賑わった往時の桐生では、いわゆる旦那衆にハイカラな店として贔屓にされていたらしい。そんな歴史にも支えられ、現在では三代目となるご主人が腕を振るう。
そんな志多美屋本店の名物料理といえば、やはりソースかつ丼。なんと来店するお客さんの98%がこれを注文するというから驚きだ。
こちらのソースかつ丼の特徴はといえば、ソースにくぐらせてもベチャッとしないカリッカリの衣と、甘さと辛さのバランスが絶妙なソース。聞けば衣は特注のパン粉を使用しており、乾燥を強めにすることでこのクリスピー感が保てているらしい。またソースのほうもオリジナルのブレンド。
お肉はといえば、バリエーションでロースも出すが基本がヒレとのこと。これはあっさりとしていて食べ飽きないソースかつ丼を提供することを身上としているため。
実際にいただいてみると、たしかに独特の衣にはびっくりする。一度ソースにくぐらせているのにまったくへたりがなく、口のなかにカリッという食感が心地よく響く。そしてソースの味も絶品だ。ご飯に染みたところを一緒に食べると、普通のソースとはまるで違う風味が広がる。これと似たような感覚をどこかで感じたことがあるなと思い起こしてみたところ、鰻丼のタレとご飯の関係に似ているのではないかという結論に至った。ピリピリするような刺激は控えめで、甘さと辛さのバランスが絶妙なこのソースだけでもご飯が進んでしまいそうだ。
この味に惹かれ、平日は地元の人が、そして休日には遠方から多くのお客さんが訪れるという。
東武桐生線新桐生駅からは散歩気分で歩いてくれば30~40分というところ。「歩くのはちょっと……」という向きには、新桐生から出ている市営の「おりひめバス」も利用できる。

志多美屋本店の外観。木肌色の外壁がよく目立つ

志多美屋本店の外観。木肌色の外壁がよく目立つ

店内の様子。来客の98%! がソースかつ丼を注文するとのこと

店内の様子。来客の98%! がソースかつ丼を注文するとのこと

これがソースかつ丼。衣の食感といい、かけるソースといい、通常のものとはまったくの別物だ

これがソースかつ丼。衣の食感といい、かけるソースといい、通常のものとはまったくの別物だ

店舗データ

志多美屋本店

【志多美屋本店】
住所:群馬県桐生市浜松町1-1-1
TEL:0277-44-4693
営業時間:11:00~14:00、17:00~20:00
定休日:木曜日、第3金曜日
●東武桐生線新桐生駅より徒歩約30分。新桐生駅より出ている市営の「おりひめバス」を利用すれば、最寄りの錦町一丁目バス停まで約6分。そこから徒歩約4分

「いでい焼きそば店」の「いもフライ」(佐野市)

表面、衣、そしてジャガイモのハーモニーが絶品!

東武佐野線佐野市駅から線路を縫うように細い路を歩いていくと辿りつくのが「いでい焼きそば店」だ。こちらのお店、店名の通り焼きそばもあるのだが、今回はもうひとつの人気商品「いもフライ」を紹介しよう。
このいもフライ。名前だけ聞くと普通のフライドポテトと間違ってしまいそうだが、実は全然別の食べ物である。簡単に言うとじゃがいもを串に刺して揚げたもの。けれども完成までにはいくつもの工程があり、かなり手間の掛かるものなのだ。
まず材料は当たり前だが、じゃがいも。そのホクホク感から北海道産の男爵が一番とのこと。これをふかすところから作業は始まる。ふかしあがったじゃがいもがまだアツアツのうちに手で皮をむき、それを串に刺すサイズに切っていく。これに小麦粉と玉子で作った衣をまとわせ、さらにその上からパン粉をまぶしたうえでようやく揚げる作業に入る。この行程を経るためには、じゃがいもをふかすのは毎晩深夜からになるという。
そんな手間のかかったいもフライ、揚げたてのものをパクリといただくと、カリッと揚がった表面の下にはもっちりとした衣が広がる。そしてその奥からはホクホクのじゃがいもが湯気を立てて現れる。そしてこれらのさまざまな食感を、ソースがひとつにまとめあげていてなんとも美味。
お店にお邪魔している最中も、近所のかたが5本10本という単位でまとめ買いしていたが、これなら納得である。おやつとしてはもちろん、ビールのつまみとしてもピッタリだろう。
ちなみにお店のかたのお話によると、揚げたてが美味しいのはもちろんだけれど、実は冷めてからもいけるとのこと。ある程度時間がたつと、表面にかかったソースが内部までじっくり染みこんで、こちらのほうが好みだというお客さんもいるとのこと。
現在、いもフライは佐野市の名物になっており、市内には20軒以上ものいもフライの店が独自の味を提供している。そんななか、「いでい焼きそば店」のいもフライの特徴はと尋ねてみると。串に刺さっているじゃがいもの大きさ、そしてかけられるソースの味とのこと。佐野市にソースメーカーが2社あるのだが、こちらでは両社のソースを独自にブレンドして使っているのだそうだ。その人気ぶりから、冬の間はソースだけの販売も行っているという。

東武佐野線の踏切近くにある、いでい焼きそば店。メニューは焼きそばといもフライのみ

東武佐野線の踏切近くにある、いでい焼きそば店。メニューは焼きそばといもフライのみ

これがいでい焼きそば店のいもフライ。おやつにも、ビールのつまみにも何本でもいけてしまいそうだ

これがいでい焼きそば店のいもフライ。おやつにも、ビールのつまみにも何本でもいけてしまいそうだ

こちらは佐野市のゆるキャラ「さのまる」くん。脇差しに注目! なんといもフライなのだ

こちらは佐野市のゆるキャラ「さのまる」くん。脇差しに注目! なんといもフライなのだ

店舗データ

いでい焼きそば店

【いでい焼きそば店】
住所:栃木県佐野市上台町2096
TEL:0283-23-1545
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜日(祭日の場合翌日に振替)
●東武佐野線佐野市駅より徒歩約10分

「はとやお好み焼き店」の「ポテト焼きそば」(足利市)

じゃがいも&焼きそば。意外な食材同士のマリアージュ

足利市の国宝「鑁阿寺」を北門から出るとすぐ前にあるのが「はとやお好み焼き店」だ。小さな間口ながら、よい意味で年輪を重ねているその外観は、このお店が地元の人に愛されていることを証明してくれている。
店名からもわかるように、このお店の一番の売りはお好み焼き。関西出身のご主人によるお好み焼きは地元の人、鑁阿寺の参拝客を問わず人気が高い。
そんななか、他県から訪ねた人の目を引くのが「ポテト焼きそば」というメニューだ。両毛エリアではたまに見かけるこの焼きそば。いったいどのようなものなのだろうか。
さっそく注文すると出てきたのは、いい感じにソースがからんだじゃがいもがのった焼きそばだ。じゃがいもをひとつ頬張ると、口いっぱいにソースな香りが広がる。聞くとこのソースは独自のブレンドで3種類のソースを調合しているとのこと。また、焼きそばを炒める前に、じゃがいもだけをソースでじっくり炒めることも大切で、これをしないとポテト焼きそばはおいしくならないらしい。
焼きそばのほうはというと、キャベツやもやしと一緒に炒められ、紅ショウガが脇を固めている。食べていると、口の中に変わった食感のものがあった。一瞬揚げ玉かなとも思ったが、舌に神経を集中させて味わってみると、これはもしや……。
「よくわかりましたね。そうです。乾き物のおつまみにあるイカ天です」とご主人が種明かしをしてくれた。これがポテト焼きそばのもうひとつの秘訣らしい。なんでも、イカ天を生産している広島のメーカーからわざわざ仕入れているとのこと。
そして、ポテト焼きそばを堪能してすっかり満足しているところで、ご主人が「よかったらこちらも味見してみてください」と出してくれたのが、その名も「プロが焼くモダン焼き」。モダン焼きといえば、焼きそばがはさんである広島風のお好み焼きのことではと質問するとさにあらず。こちらのモダン焼きは、なんと焼きそばがお好み焼きを挟んでいるのである。バラバラになってしまう焼きそばをどうやってそんな風にと思うが、そこがプロの腕の見せどころらしい。実際にいただいてみると、鉄板で直接焼かれた焼きそばのカリカリという食感が香ばしくて実に楽しい。お腹に余裕があるようなら、ポテト焼きそばとあわせて、こちらもぜひ食べてみたい。

鑁阿寺の北門を出てすぐのところにある、はとやお好み焼き店

鑁阿寺の北門を出てすぐのところにある、はとやお好み焼き店

これがポテト焼きそば。焼きそばはもちろん、じゃがいもにもしっかりとソースが絡まり美味。

これがポテト焼きそば。焼きそばはもちろん、じゃがいもにもしっかりとソースが絡まり美味。

こちらがもうひとつの自慢料理「プロが焼くモダン焼」。焼きそばを外側にしてまとめあげるというプロの技が光る

こちらがもうひとつの自慢料理「プロが焼くモダン焼」。焼きそばを外側にしてまとめあげるというプロの技が光る

壁に貼られたメニューの種類の多さに圧倒される

壁に貼られたメニューの種類の多さに圧倒される

店舗データ

はとやお好み焼き店

【はとやお好み焼き店】
住所:栃木県足利市家富町2247
TEL:0284-42-6998
営業時間:12:00~20:00(オーダーストップ)
定休日:火曜日、第3水曜日
●東武伊勢崎線足利市駅より徒歩約15分

「大日茶屋」の「足利シュウマイ」(足利市)

屋台の引き売りが起源といわれる変わり種シュウマイ

栃木県足利市にある鑁阿寺は、真言宗大日派の本山であるとともに足利氏宅跡としても知られ、2013年には本堂が国宝に指定された。この歴史ある古刹の敷地の一角で営業しているのが大日茶屋だ。平日は散歩がてらに立ち寄る地元の人、週末は遠くから鑁阿寺を参拝に来た人で賑わっている。
現在、ここのお店で人気のメニューが「足利シュウマイ」だ。これは片栗粉とタマネギ、そしてラードのみでつくられたシュウマイで、これに地元のソースメーカーである月星ソースの中濃をかけていただくのがスタイル。シュウマイ自体のシンプルな味にソースがからんでよく合う。味がしっかりしているので、おやつにはもちろん、酒のつまみやご飯のおかずにもぴったりとのこと。
もともとこの足利シュウマイ、足利ではかなり昔からなじみのある食べ物だったらしい。
戦前から織物業で栄えたこの街には、そこで働く労働者のためか、引き売り、つまり屋台のラーメン屋が多かったのだそうだ。その屋台のサイドメニューとして出されていたのがこのシュウマイなのだ。麺を茹でる鍋に蒸籠を据え付けてシュウマイを蒸していたらしい。肉を使用していないということも、屋台での日持ちを考えれば納得だ。昔はお酒を飲んで帰るお父さんが、このシュウマイをお土産に提げて帰る姿もよく見られたらしい。
足利市民のなかにはこの足利シュウマイこそが本家本元で、肉の入っている、いわゆる通常のシュウマイのほうが特別なものだと思っていた人もいるという。
やがて歴史の流れのなかで街からは屋台も姿を消したが、足利シュウマイは大日茶屋をはじめ市内のいくつかのお店で今もその味を引き継いでいる。
ちなみにこの足利シュウマイ、「片栗シュウマイ」や「チャルメラシュウマイ」といった別名もあるが、これも先ほどのもともとは「足利のシュウマイ=シュウマイ」と呼んでいた歴史を考えれば、後づけでさまざまな呼び方が発生したのも納得である。

大日茶屋の外観。国宝指定されている鑁阿寺の境内にある

大日茶屋の外観。国宝指定されている鑁阿寺の境内にある

これが足利シュウマイ。右は定番の蒸したもの。左は新基軸の揚げシュウマイ

これが足利シュウマイ。右は定番の蒸したもの。左は新基軸の揚げシュウマイ

シュウマイ以外にもメニューは豊富。参拝客で賑わう

シュウマイ以外にもメニューは豊富。参拝客で賑わう

国宝指定の鑁阿寺。ここまで来たらぜひお参りして行きたい

国宝指定の鑁阿寺。ここまで来たらぜひお参りして行きたい

店舗データ

大日茶屋

【大日茶屋】
住所:栃木県足利市家富町2220 鑁阿寺内
TEL:0284-55-4554
営業時間:9:00~17:00
定休日:火曜日
●東武伊勢崎線足利市駅より徒歩約10分

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