両毛の歴史を楽しんだり、グルメを堪能しながら観光名所を巡る両毛の観光情報誌

[2014年1月 更新]

群馬県館林市のラーメン、うどん、そば

せいろそば、手打ちチャーシューメン、大根そば、鴨つけ汁、群馬県館林市名店を紹介。

手打玄蕎麦「ことぶき」のせいろそば

自家製粉で打つこだわりのそば

館林駅から東武伊勢崎線でひと駅目。多々良駅を下車して10分ほどの場所にあるのが、手打玄蕎麦「ことぶき」だ。この地に暖簾を下げてから45年ほど。当初はうどんがメインだったが、二代目が腕を奮うようになってからはそばにも力を入れるようになり、今では納得のいく産地から玄そばを仕入れ、自家製粉でそば粉を挽くようにまでなったという。オススメのそばは?と尋ねてみると、やはり「まずは、せいろそばを」。しかも、ひと口目はそばつゆをつけずにそのままでとのこと。
テーブルに置かれたそばをそのままそっと口に入れると、そばの香りとほのかな甘味が口の中に広がっていき、やがてそれが喉をするっと通っていく感覚が心地よい。なるほど、この繊細さを味わうには、まずはなにもつけないでというのも納得だ。
そばばかりに感動してしまったが、もちろんうどんに関しても抜かりはない。もともとうどんの需要が多い館林。寒い時期は茹でたてのうどんを温かいつけ汁でいただく「湯だまりうどん」が人気。こちらもつるんとした食感が食欲をそそる。
地元の人はうどんを、遠方から来る人はそばを目当ての人が多いというのも、いかにもこの店らしい。
このお店からしばらく歩けば群馬県立館林美術館が、さらに行けば白鳥の飛来地としても知られる多々良沼までは小一時間の距離だ。散歩の一環として組み入れてみるのもいいだろう。

「まずはこちらを」とご主人がすすめる「せいろそば(550円)」。

店舗データ

【手打玄蕎麦「ことぶき」】
住所:群馬県館林市日向町1143-5
TEL:0276-73-0882
営業時間:11:00~15:00、16:30~19:30
定休日:火曜日

手打ちそば「平野屋そば店」の手打ちチャーシューメン

思わずホッとする手打ちのラーメン

こちらは創業120年にもなるという、老舗のそば・うどん屋さん。近年、創業100年を越える飲食店は、それだけで「百年食堂」の称号のもとに観光の目玉にもなりうるという。そういう意味ではこのお店もまごうことなき「百年食堂」だ。しかしそんな言葉にも、オカミさんは「長く続いているだけだから」ときわめて謙虚。
このお店の特徴のひとつとして、メニューの豊富さがあげられる。もともと川魚料理が盛んなこの土地柄だけに、創業当初は川魚の天ぷらのような料理も出していたらしい。その後も年輪を重ねるごとに、お客さんのリクエストに応えるようにメニューは増え、今日ではカレーうどんやカツ丼はもちろん、うどん・そばのお店でありながらラーメンまでメニューに並んでいる。
「広げすぎかなとも思うんだけど、それぞれの料理を贔屓にしてくれるお客さんがいることを考えるとなかなか減らせなくて……」と、悩ましげに語るオカミさんであった。
そんななか、今回注文したのは「手打ちちゃーしゅー麺」。手打ちのうどんやそばの技からどのようなちゃーしゅー麺が出てくるのか楽しみに待っていたところ、運ばれてきたのはなんともホッとするようなラーメンであった。鶏、豚骨、貝柱、昆布でとった醤油味のスープは口の中で優しく広がり、太めの縮れ麺がそのスープを絡めながらスルスルッと口から喉へと抜けていく。チャーシューもしょっぱすぎずに豚の味がしっかりとする。
最近はどうもインパクトの強いラーメンばかりがもてはやされるようだが、こういう滋味深いラーメンも捨てがたいものである。
お客さんの大半が周辺の人であるということからも、こういった料理が地元の人々に愛され続けているのだろう。そうでなければ、なかなか難しいですよ。120年も店を続けるなんて。

平野屋の「手打ちちゃーしゅー麺(750円)」。あっさりスープが優しいお味

「平野屋そば店」の店内。窓からは明るい日差しが差し込む

「平野屋そば店」の趣深い外観。交差点の角という好立地にある

店舗データ

【手打ちそば「平野屋そば店」】
住所:群馬県館林市本町4-5-1
TEL:0276-72-0076
営業時間:11:30~15:00、17:00~19:30
定休日:水曜日

手打そば処「木挽庵」の大根そば

この地方ならではのご当地そば

館林駅から市の合同庁舎脇を抜けた先、静かな住宅街の一角に佇むのが、手打ちそば処「木挽庵」。館林にしては珍しく、夏場は注文の九割がそばという、まさにそばの名店だ。こちらのそばの特徴は粗挽きのそば粉を使うということ。ご主人のお話によると、そば粉は挽きが細かいほうが打つのは楽なのだが、そのぶん細かく挽けば挽くほど旨味が薄くなっていくのだそうだ。その点、粗挽きの粉なら旨味はそのまま残るのだが、今度はそばとしてつなげるのが難しく、そこをあえて、粗挽きでそばに仕立てるのが技らしい。
今回、そんなそばをいただくのに選んだメニューは「大根そば」。これはここ両毛地方が発祥の地とされるそばで、そばに細く刻まれた大根が混じっているのが特徴だ。もともとは戦後、そば粉がまだ貴重だった時代にそばをかさ増しするために考案されたものらしい。正月などの、年に一度贅沢できるようなときには、貴重なそばを何度も食べたいという思いもあったらしい。そして同時に、大根が混じっているために、時間がたってもそばがくっつかないという、当時としては思わぬ利点も発見。
また大根にはジアスターゼという消化酵素が豊富に含まれていることから、一般に消化がよくないとされるそばと合わせて食べることで胃腸にもやさしいという効果もあるのだとか。
実際にいただいてみると、粗挽きのそばから感じる旨味や香りに混じって感じる大根の歯ごたえがなんとも楽しい。想像していたよりもそばと大根はずっと相性がよい。
こちらのそばは、現在山形県産のそば粉を用いているとのことだが、パートナーの大根のほうも、大根ならなんでもよいというわけではないらしい。そばと大根を同時に茹でることから、大根に含まれる水分や固さも重要で、そんなことから現在使用しているのは、栃木県那須、あるいは群馬県根利産の高原大根が最適とのこと。いやはや奥深きかな、大根そばである。

これが「大根そば(700円)」。そばと大根が一緒に混じった状態で盛られてくる

「木挽庵」の店内。壁には店名に因む大鋸(おおが)が飾られている

「木挽庵」の外観。閑静な住宅街のなかにある

店舗データ

【手打そば処「木挽庵」】
住所:群馬県館林市西本町7-37
TEL:0276-74-1101
営業時間:11:00~15:00
定休日:木曜日、第3水曜日

手打ちうどん・そば「丸木屋」の鴨つけ汁

天然酵母を練り込んだ手打ちうどん

手打ちうどん・そばの店「丸木屋」は、創業80年を越えるうどんとそばの専門店。現在のご主人は三代目とのことだ。
こちらでいただいたうどんは「鴨つけ汁」。「鴨つけ汁」というのは鴨肉を用いたつけ汁にうどんをつけながら食べるというもので、館林周辺ではポピュラーなメニュー。太めのうどんはコシもしっかりとしていて、噛んでいるとだんだん小麦の香りが口に広がってきてなんとも美味。つけ汁も味がしっかりしているので、太めのうどんにも味がちゃんと絡んでくれる。
「丸木屋」のうどんの一番の特徴はといえば、それは生地に天然酵母、そして麹を練り込んでいるということ。以前、うどんを寝かせる際に用いていた布を変えたときに、うどんの風味そのものも変わってしまったという経験を持つご主人は、その際に布地に住んでいたなんらかの常在菌がうどんの味に影響を与えていたのではと推測。そこからさまざまな酵母を用いて試行錯誤を繰り返し、現在用いているものに至ったという。その間、なんと10年。それでもまだ完璧には至らず、今日もこちらのうどんの進化は続いている。
ちなみに毎日限定8食ながら、通常のメニューに載っているものに小鉢が3~4皿ついて800円というお得メニューもあるので、これを狙っていくのもよいだろう。

「鴨つけ汁ランチ(980円)」鴨つけ汁うどんに小鉢が3~4鉢ついたお得なメニュー

「丸木屋」の店内

店舗データ

【手打ちうどん・そば「丸木屋」】
住所:群馬県館林市新宿1-10-3
TEL:0276-72-0957
営業時間:11:30~15:00(月火、木~日)、18:00~19:00(月木金)、18:00~20:00(土・日・祝日)
定休日:水曜日、火曜日夜の部