両毛の歴史を楽しんだり、グルメを堪能しながら観光名所を巡る両毛の観光情報誌

[2013年9月 更新]

栃木県佐野市の名物「佐野ラーメン」の新旧を訪ねる

栃木県から全国にその名が知られるほどになった名物料理、「佐野ラーメン」。その打ち方に特徴があり、醤油味のスープではじまった歴史だが、ニュージェネレーションのラーメン店も見過ごせないぞ。

両毛地区が全国に誇るトップグルメ
栃木県佐野市の佐野ラーメン

上野毛国(かみつけのくに。のちの上野国〔こうずけのくに〕。現在の群馬県)と下野毛国(しもつけのくに。のちの下野国。現在の栃木県)を併せた両毛エリアで誕生し、全国区の知名度を誇るまでになったのが栃木県佐野市の佐野ラーメンだ。
佐野市の良質な水と小麦を使用し、青竹を使って体重をかけて伸ばした平打ち中太のちぢれ麺が大きな特徴。
もともとはコクのある醤油味が主流だったが、現在は豚骨や塩、透き通った醤油味など、店によってさまざまな味を提供するようになった。
また麺も、もともとは柔らかめだったのだが、新しい店では現代の主流ともいえるコシのある麺を出すところも増えてきている。

1988年〔昭和63年〕には「佐野ラーメン会」が発足。会に所属している店は店頭に赤いのぼりを出しているのが目印。もちろん所属していない店でもおいしいラーメンは食べられる。
200軒以上ものラーメン屋がひしめき合う佐野市。新しい店ではそれぞれが味を競い、切磋琢磨して全体のレベルを上げている部分もあるかもしれない。逆に「うちはうち」というマイペースの老舗店も存在している。どちらも魅力溢れる佐野ラーメン。新旧数店舗を紹介しよう。

東武佐野線の佐野市駅。駅近くにもラーメン屋さんがある

昔ながらの柔らかちぢれ麺

「手打ちラーメン 万里」の「手打ちラーメン」(600円)

お店をはじめて40年近く、現在の場所に移ってからも25年以上経つ老舗。古くからの万里愛好者も多い。
平打ちちぢれ麺だが、太さは手打ちらしくバラバラ。朝から打つ麺はまごうかたなき昔ながらの佐野ラーメンの麺で、とても柔らかいのが特徴。決して茹ですぎているわけではなく、これが万里の昔からの麺だ。なんとも優しく、モグモグ食べるラーメンといったタイプ。
鶏と豚のガラスープだが、強い醤油味が印象的。このあたりも老舗の味を感じさせる。
現在は代を継ぐ息子さんも中心となって働いている。
西武ライオンズに入団し、読売ジャイアンツなどで活躍した元プロ野球選手の小関竜也さんの実家とのこと。

見た目は薄そうなスープだが、味はかなりしっかりとしている。それが柔らか麺と合うのかもしれない

こだわりのメニューで女性客に人気

「麺家 ゐをり」の「うま塩ラーメン」(650円)

2008年4月にオープンした佐野ラーメンの進化系。
ニュータイプらしさは店構えから内装まで、随所に感じられる。ラーメン屋という概念を捨て、あえてふぞろいにしたアンティークのテーブルと椅子が可愛くてお洒落。
壁などにも遊び心が見られるので要チェック。「女性客でも気軽に入りやすいように」というコンセプトは成功しているようだ。
中太ちぢれ麺で、加水を抑えているためとてもコシが強い。このあたりも新しい佐野ラーメンといえる。
厚みのあるチャーシューも食べ応えがあるし、甘めのメンマもほかの店との違いを感じる。
厚切り炙りチャーシュー(250円)や山盛りゆでもやし(60円)など、トッピングの種類の多さにもオリジナリティを発揮。
和にぼしラーメン(700円)などもあり、ほかの種類のラーメンも食べたくてたまらなくなる。

「うま塩ラーメン」。水菜が乗っているのも珍しい

シンプル、ゆえにこだわりの数量限定

「日向屋」の「ラーメン」(550円)

約10年ラーメン店で修行をしてきた店主がオープン。青竹手打ちという本来の製麺方法だが、それほど大きくちぢれているわけでもなく、ある程度コシもある、やはりニュータイプの佐野ラーメン。
スープは見た通りの薄めの醤油味で、出汁の味が生かされている丁寧な仕上がり。シンプルな「ラーメン」に乗せられたチャーシューはトロトロでとろける。
トッピングは男性向けのニンニク(50円)や女性に人気のワカメ(100円)、煮玉子(100円)などがある。
店内はテーブルと座敷席。もとは食堂だったそうで、懐かしい雰囲気のなか、スタッフの元気のいい「いらっしゃいませーーー」の声が響く。
ガラスで仕切られたところで青竹を使った麺打ちが見られる。

平打ち麺。安定した味を提供している

こだわりの頑固一徹で大人気店に

「いってつ」の「しおラーメン」(550円)

2004年にオープンした、進化系に属する佐野ラーメンの「いってつ」。とはいっても、青竹を使い、必ずすべて手打ちで仕上げる麺にはこだわりを持っている。機械はいっさい使わず、包丁での丁寧な切り出しは店内のお客さんに見える場所で行っている。
麺はそれほど太さは感じないが平打ちちぢれ麺で、食感のよさとちょうどいいコシの強さがあり、とても食べやすい。

鶏ガラやげんこつを使ったスープも動物系だが、それが主張しすぎない上品さがある。
このあたりは店主の研究の成果なのだろう。
オーソドックスな醤油味はもちろん人気だが、11:30~15:00の限定販売となっている「しおラーメン」もかなり出ているとのこと。
こちらも塩味だがとても上品で、その透明度の高さがまるで和食屋のお吸い物のような佇まいに見えてくる。
トッピングのあおさ(青海苔)が、この塩スープとの相性バッチリ。残らず食べたくなるのは誰もが感じることではないだろうか。

店内の注文を見ていると、しょうゆラーメンのほかに、ねぎラーメンも人気がありそうだ。豆板醤と和えたネギが山盛りされている。
次回はあれを食べてみたい・・・・・・と思う人が連鎖して、平日でも満席となるのだろう。

しおラーメンにあおさ。合わないわけが ない

正しい佐野ラーメンは食堂の中華そば

「赤見屋本店」の「中華そば(ラーメン)」(600円)

最後に紹介するのにふさわしい、名店といえるのが、「赤見屋本店」。
創業は1954年(昭和29年)とのこと。つまり、「佐野ラーメン」が注目を集めるかなり前に店はオープンしているわけだ。いうなれば佐野ラーメン界の大先輩だ。

ラーメン屋ではなく、食堂としてはじまっているので、「カツ丼」や「親子丼」もメニューに並ぶ。しかもまだメニューは増え続けているらしい。
「賄いで作ってみてお客さんに出せるようなものが生まれちゃったらメニューに加えるよ」とご主人。2013年秋にも新メニューが誕生しそうだが、それについてはまだ内緒と言われた(2013年7月時点)。

麺はもちろん青竹を使って体重をかけて作る正真正銘の佐野ラーメン。手もみをしたちぢれ麺は基本的に平打ち太麺だが、手打ちらしく細い部分もある。そのためか、柔らかい部分と堅い部分があるのもひとつの特徴だ。

さまざまな世代の男女で店は満席になることも多い。やはり注文はラーメンが中心となる。
現在は2代目の主人と3代目の息子さんで切り盛りしている。

モチモチの柔らかさとコシのある堅さが混在する忘れられない味の「中華そば」

記事で紹介したグルメスポット

「赤見屋本店」

「赤見屋本店」

1954年(昭和29年)創業。