会津の歴史を楽しんだり、温泉やグルメを堪能しながら観光名所を巡る会津の観光情報誌

[2013年12月 更新]

猿湯伝説が残る湯野上温泉郷

湯野上温泉郷のなかでも最初期に誕生した宿「清水屋旅館」をはじめ、気持ちのいい露天風呂を擁する「こぼうしの湯 洗心亭」などを紹介。

猿湯伝説が残る湯野上温泉郷イメージ

日本唯一の茅葺き屋根の駅に降り立ったら
自然に囲まれた温泉郷をたっぷり堪能しよう

会津鉄道の湯野上温泉駅は日本で唯一の茅葺き屋根の駅舎。
ホームでも大きな桶にお湯がちょろちょろと流れ出されており、温泉地へやってきたという気分が盛り上がる。
2012年には駅舎の横に足湯ができた。かなり大きいが、あくまでも足湯。間違っても全裸になってはいけない。ここは地元の人から電車を待つ人まで、さまざまな人が利用している。

湯野上温泉には猿湯伝説というものがある。
闘いに敗れたボス猿が湯に浸かり傷を癒しつつも、もはや飢えて死ぬしかないという状況のときに、通りかかった老婆が握り飯を与えたところ、猿は拝むような仕草をしてから食べたというものや、猟師に打たれた手負いの猿が湯に浸かって傷を癒したという話などがこの地に残っている。

湯野上温泉郷の歴史は古く、小さな温泉旅館から大規模旅館まで多彩に揃っている。ただし、歓楽街のような温泉街はない。自然に囲まれた温泉郷だ。

湯野上温泉駅。電車を降りるとすぐに撮影する人がたくさんいる

湯野上温泉駅を出たところ。足湯は向かって左にある

広大な敷地に自然が残された大規模旅館
お風呂で源泉を飲むこともできる

駅からむらさき橋を渡ってから左折。しばらく行くと、「こぼうしの湯 洗心亭」がある。
約4000坪の自然庭園が広がる敷地に、できる限り木を生かした形で建設された1989年(平成元年)創業のホテルだ。
2012年にリニューアルされた露天風呂は湯船に浸かると目の前に林が広がり、まるで木と会話しながら体を温めているような気分が味わえる。

林の約8割はイチョウの木で、11月ごろには見事な紅葉を望みながら入浴が楽しめる。

無味無臭で昔から料理やお茶をたてるのにも使われていたという湯野上温泉。「洗心亭」は飲泉の許可を得ているので、大浴場に置かれているコップで源泉を飲むこともできる。

「こぼうしの湯 洗心亭」

最初期の温泉宿とその姉妹館で
湯野上温泉郷の歴史を感じる

1890年(明治23年)に創業した「清水屋旅館」は、湯野上温泉最初期に生まれた旅館。
露天風呂は湯船が5つあり、それぞれで湯温が違っている。

会津鉄道線路沿いにあり、部屋からも露天風呂からも走る電車が見られるのが情緒があっていい(電車からお風呂は見えない)。

「清水屋旅館」の姉妹館として1990年(平成2年)に開業したのが、大川を挟んだ反対側に位置する大きな「藤龍館」だ。
渓流に面した露天風呂は男女別だが、隔てているのは大きな岩だけ。ゆったりとお湯に浸かりながら男女でおしゃべりすることもできる。その近さが気になる女性は、大浴場から行ける小さな露天風呂もあるので安心。

無色透明のお湯はスルリとした感触で保湿・美肌効果もあり。 客室にある内湯もすべて源泉掛け流しで、檜の壁に十和田石造りのものをはじめとした落ち着いた雰囲気のお風呂がそろっている。

「清水屋旅館」の露天風呂

国指定天然記念物がある
湯野上温泉郷

湯野上温泉は国選定重要伝統的建造物群保存地区の観光地「大内宿」からもっとも近い温泉郷としても知られている。
江戸の町並みをゆっくり散歩してタイムスリップ気分を味わってから温泉で体をほぐすのもいいだろう。

湯野上温泉駅の隣は、塔のへつり駅。駅から約5分で行ける「塔のへつり」も大川の渓流で100万年以上の月日をかけて生み出された国指定天然記念物だ。

湯野上温泉駅からもっとも近い国指定天然記念物として知られるのは、「中山風穴地特殊植物群落」。
ここは標高500mから、高いところで800m程度でありながら、ほかでは標高1500mくらいの場所でしか見られないような高山植物が群生している。火成岩が積み重なったために山の下のほうへ冷気が吹き出してきているためにこのような奇跡が起こったのだ。

自然が作り出した不思議をたっぷり感じたあとは、露天風呂からも自然を眺めて温泉を堪能しよう。

多くの観光客が訪れる「大内宿」

「塔のへつり」。へつりとは崖のこと

「中山風穴」の冷風体感施設。5~10度くらい