会津の歴史を楽しんだり、温泉やグルメを堪能しながら観光名所を巡る会津の観光情報誌

[2013年8月 更新]

会津檜枝岐温泉郷の村ぶらり

南会津の温泉郷、檜枝岐村。古い伝統が残る小さな村はお散歩すればひとまわりできてしまう。村を一望できる「中土合公園」の展望台へ行き、「ミニ尾瀬公園」を散歩したら、また温泉に浸かっちゃおう。

会津檜枝岐温泉郷の村イメージ

秘境の温泉郷、檜枝岐村でも楽しいスポットはたくさんある

南会津郡檜枝岐村は、そこに暮らしている人の口からも「秘境」という言葉が出る村だ。
集落は国道約3kmの区間に集まっている。
尾瀬沼などへハイキングに行く人や駒ヶ岳、燧ヶ岳(ひうちがたけ)への登山客がこの檜枝岐村の旅館や民宿を利用することが多い。
湯量豊富な温泉が湧出しており、多くの人が登山やハイキングの疲れを癒すのだ。

しかし、檜枝岐村は登山やハイキングの休憩をする温泉目的だけで滞在するのは、ちょっともったいない。
ここにはおいしいそばやイワナ、キノコや山菜料理がたくさんあるのだから(「会津のグルメ」ページ参照)。
さらに日帰り温泉入浴ができる旅館や公衆浴場もあるし、歴史を感じさせる建造物も残っているのだ。

「中土合公園」

中戸合(なかどあい)公園の展望台は
急階段を約20分登り村を一望できる

屋根の色が統一された美しい村の全体像

檜枝岐村に滞在してあちらこちらのスポットをまわりたい場合は、レンタサイクルが便利。「観光案内所」「アルザ尾瀬の郷」「ミニ尾瀬公園」で貸し出ししていて、どこで借りてもこの3カ所なら返却可能。料金は1日1000円、半日500円だが、村内に宿泊していれば無料だ。

中土合公園に入ると、看板に「展望台まで500m」と書かれていた。たいした距離じゃないとも思える。
簡易的な階段も作られている。ただし結構急だ。展望台に着くころには結構息が切れている人も少なくない。

しかし、展望台からの村の眺めは、“登る価値あり”といえるもの。統一された屋根の色は、まるでヨーロッパのようでもある。
この屋根の色には理由がある。
以前は茅葺き屋根の木造建築がほとんどだったのだが、ある日、村の端で火事があり、それが延焼して大きな被害を出してしまった。それ以降、集落の外れに板倉を造り、茅葺き屋根をなくしていったということだ。その後、トタンや新建材の屋根に変えていき、平成14年には「美しい檜枝岐村をつくる」という条例を制定。屋根の色を統一することになった。

展望台からは学校などの大きな建物が確認でき、つい先ほどその横を通ってきたことがわかる。達成感も感じられる。
村と反対の方角には燧ヶ岳が綺麗に見える日もあるという。
帰りはもちろんいま来た階段を下る。急な階段を降りるのは筋肉への負荷が大きいので気をつけよう。

中土合公園からさらに村を離れる方向へ進むと、「ミニ尾瀬公園」がある。
ここは尾瀬や近隣の山々に咲く花など100種100万株が植栽されていて、木道が整備された湿原や林道を歩き、水が綺麗な川を泳ぐイワナなども見ることができる。
尾瀬沼へ行けない人、または尾瀬沼へ行く予行練習にまわってみると楽しい。

中土合公園の展望台から見た檜枝岐村。絶景

村内に残る貴重な文化財
約270年の伝統がある檜枝岐歌舞伎

親から子へ受け継がれる檜枝岐歌舞伎

全国でも珍しい、江戸中期から受け継がれる農民芸能。
現在の舞台は焼失してしまったものを明治時代に再建したものだ。茅葺き屋根と花道がある舞台で、上演されるときは大勢の観客の前で美しく飾られ、盛り上がる。毎年8月のお盆の時期に上演されている。

普段は息を潜めているように静謐さをたたえている歌舞伎舞台。鎮守様を見上げるこの場所へ行ってみるのもいい。
檜造りの舞殿と地形を利用した石段の観客席が見事だ。上演されていないからこそ、じっくりと見られる部分もある。

その歌舞伎舞台へ入る手前には「橋場のばんば」というおばあさんの水神様が祀られている。水難から子どもを守る神様だったが、現在は縁結び・縁切りの神様としても信仰されるようになっている。
縁を切りたいときは新品のハサミを供え、縁を結びたいときは切れないように錆びたハサミを供える。錆びたハサミにさらに切れないように針金でぐるぐる巻きにしたものも供えられている。よほど離れたくない人がいるようだ。

檜枝岐村の「橋場のばんば」。左右にハサミがあり、縁結びと縁切りの御利益があるとか。この奥に歌舞伎舞台がある

板倉、六地蔵にも逸話と歴史がある

少し進むと道沿いにセイロウ造りの板倉がある。釘や金具を一切使わない建築物で、奈良の正倉院と同じ様式だといわれている重要文化財だ。
板倉が多い場所の近くには、六地蔵が建っている。
檜枝岐村は山深い里のために冷害などで凶作になると餓死者が出ることもあった。そんな時代は子どもを間引きすることもあったという。この六地蔵はその霊を慰めるために1792年に建てられた。現在は登校する子どもたちを見守っているようにも見える。

村をぐるっと観光したら、宿泊している宿で温泉に浸かってもいいし、公衆浴場「駒の湯」「燧の湯」、複合温泉スポーツ施設「アルザ尾瀬の郷」の温泉を楽しんでもいい。
ゆっくり身体をほぐそう。

檜枝岐村の歌舞伎舞台。客席は石段