会津の歴史を楽しんだり、温泉やグルメを堪能しながら観光名所を巡る会津の観光情報誌

[2014年1月 更新]

南会津の郷土料理「くじら汁」「しんごろう」など

郷土料理は旅館や民宿で出されることが多いが、飲食店でも食べることはできる。「山王茶屋」と「会津田島祇園会館」で、実に素朴な家庭料理といった感のある南会津の郷土料理を紹介。

南会津の郷土料理「くじら汁」「しんごろう」などイメージ

南会津の家庭に伝わる郷土料理は
おばあちゃんの家に帰った気分になれる

東武スカイツリーラインから鬼怒川線、野岩鉄道を経て会津鉄道会津線へ。電車は南会津郡南会津町を通る。

郷土料理というのは、その地域で得られる食材を使った独特の調理法による料理といっていいだろう。日本全国各地方にある。
堅く考えることはなく、いわば家庭料理ともいえる。
特に寒冷地などでは、米ではなく蕎麦を使った料理だったり、動物性タンパク質などの栄養をとるために工夫をして生み出された料理だったりもする。それが各家庭で代々受け継がれてきて、その地方の郷土料理といわれるようになっている場合が多い。
しかし時代とともに交通網は大きく進化、流通が比べものにならないくらい進歩したため、地方であってもさまざまな食材が入手できるようになった。また、外食産業の発展もあり、受け継がれるべき郷土料理が家庭の食卓に上らなくなってきて、地元の若い世代が調理法さえ知らない郷土料理もあるようだ。

郷土料理は旅館や民宿で出されることが多いが、飲食店でも食べることはできる。
実に素朴な家庭料理といった感のある南会津の郷土料理を紹介しよう。

囲炉裏に家族が集まるのが昔の家庭の風景だった

「茶屋御膳」でくじら汁を堪能
家庭料理をいただいている感覚で温まる

会津鉄道会津線の会津山村道場(あいづさんそんどうじょう)という猛々しい名前の駅から約1kmのところにある古民家れすとらん「山王茶屋」。入るとすぐに囲炉裏があり、土間には大きな釜もある。
ここでは蕎麦やうどんもおいしいのだが、入口にあった大きな釜で炊いたご飯がセットになった「茶屋御膳」(1080円)で郷土料理をいただける。
セット内容は、「炭火炊き御飯・くじら汁・田楽・天ぷら・季節野菜の小鉢3品」。

くじら汁は会津以外でも食されてきたが、南会津に古くから伝わる郷土料理のひとつでもある。
その昔、行商人が運んできたくじらの脂身を塩漬けしたものは保存性が高く、貴重なタンパク源として重宝され、各家庭の定番料理となっていた。
ダイコン、ニンジン、ジャガイモ、ネギ、豆腐などと一緒に味噌で煮込んだくじら汁は具がたっぷり入って体の奥から温まる。
くじらの脂身はとても軟らかく、知らされなければ何かわからないかもしれない。
会津田島の地域では、しんごろうを作るときに一緒にくじら汁も作る風習があったという。
なのでしんごろうセットにはくじら汁がつくのだ。

「茶屋御膳」

「くじら汁」。温まる

くじら汁としんごろうで立派な食事
ボリュームたっぷりで満腹になれる

しんごろうはすでに本サイトのグルメコーナーで紹介している南会津の郷土料理。
貧乏ゆえもち米が買えない新五郎という男が、うるち米を丸めてじゅうねん味噌を塗り、囲炉裏で焼いて食べていたという。それが大層おいしかったことから村中に広まり、そのまま新五郎の名前がついた郷土料理となったといわれている。
じゅうねん味噌というのは会津地方で採れる栄養満点のエゴマをすり潰したものに味噌、砂糖、酒を加えたもの。家によっては砂糖を加えない場合もあるというが、じゅうねん味噌といえばやや甘めなものが多い。

「山王茶屋」では「しんごろうセット」(600円)として、しんごろう2個とくじら汁、お新香をセットでいただける。しんごろう単品はひとつ150円。くじら汁単品はひとつ350円。

串に刺したうるち米の団子にじゅうねん味噌をたっぷりと塗って囲炉裏の炭火でまんべんなく焼くしんごろう。カリッと香ばしい部分とじゅうねん味噌の甘み、弾力のある米の食感がひとつになって、ついパクパクと食べてしまう。ふたつあれば十分お腹も満たされるだろう。

「しんごろう」。ごまに似た風味でやや甘めのじゅうねん味噌が塗られている

なかはもっちりうるち米。お腹いっぱいになる

まんじゅうにコロモをつけて揚げた
「天ぷらまんじゅう」はおかずか!?

「天ぷらまんじゅう」(100円)もすでに本サイトでは紹介済み。
まんじゅうをそのままコロモにくぐらせて揚げたもので、天ぷらのコロモの下にはまんじゅうの皮があり、そのなかに餡がある。当たり前だが・・・・・・。
ただ、はじめて食べるとコロモの下から出てくるまんじゅうの皮にちょっと驚く人もいるだろう。
しかも会津ではおかずという立ち位置でもあるというから、さらに驚く。醤油や天つゆにつけて食べることもあるという。サクッとした天ぷらの食感だが、なかからは甘い餡が出てくるわけだ。
蕎麦に乗せる場合もあるというが、それらはぜひ実際に試してみてほしい。もちろんデザート感覚の単品で食べても全然OK。

「天ぷらまんじゅう」

家庭料理だが、上品さを感じさせる
冠婚葬祭に欠かせない「つゆじ」

会津田島駅を出たら踏切を渡って反対側へ。徒歩約9分で「会津田島祇園会館」に着く。ここのレストランコーナーでも会津田島の郷土料理が食べられる。

つと豆腐という聞き慣れない豆腐を使った「つゆじ」(200円)は、冠婚葬祭に欠かせない料理。
貝柱や煮干しなどで出汁を取り、サトイモ・ニンジン・キクラゲ・つと豆腐などの具を入れたもの。サトイモは半月切り、ニンジンは刀切り、つと豆腐は輪切りにするという。
多くのお店で食べられる「こづゆ」と似ているが、違いはつと豆腐を使う点。

つと豆腐というのは、わらに細長く切った豆腐を入れて包み、20分ほど塩茹でしたもの。
もともとわらに入れて豆腐を運んでいたのだが、たまたまそのまま煮てしまったことから生まれたといわれている。日保ちがするし持ち運びにも便利なうえ、煮崩れしにくく味が染み込みやすくなるので、煮込み料理などによく使われるという。
食感は普通の豆腐よりやや固めで弾力性がある。

「つゆじ」。つと豆腐は味が染みている

にしんと山椒を合わせたものと
干物の棒鱈をじっくり煮込んだ魚料理二品

「にしんの山椒漬け」(300円)も会津の郷土料理としてよく知られている。
会津田島では山椒の木を家の周辺に植えて、芽や果実をこのように調理に使っていたといわれている。
弱った胃を元気にする効用がある山椒に身欠きにしんをタレとともに漬け込んだもので、山椒のピリリとした辛さはそれほど感じられないが、いい香りとともにいただける。

「棒鱈煮」もお正月やお祭りに欠かせない郷土料理のひとつ。
山々に囲まれた会津では新鮮な魚は手に入らず、保存のきく塩漬けや干物を料理することが多かった。
干物になった固い棒鱈を2~3日水につけて、その後砂糖醤油でゆっくりと煮込んだのが棒鱈煮だ。
土産物屋ではパックされた軟らかい棒鱈煮が売られていたりするが、ここの「棒たら」(580円)は、「干物だったんだな」と感じさせられる、身がしっかりとした食感だ。

「棒たら」

郷土料理のバイキングが人気
「里山バイキング」+郷土料理単品セットあり

「会津田島祇園会館」のレストランコーナーでは、単品の郷土料理とは別に人気のランチバイキングがある。
「里山バイキング」(880円)だ。
季節の地元食材料理が約20種食べ放題で、ご飯は田島産黒米入り、味噌汁は田島産ふくいぶき大豆味噌がおかわり自由という豪華さ。

「里山バイキング」に「つゆじ」と「にしん山椒漬け」をつけたセットが「ぎおん」(1300円)で、さらに「棒たら」をつけたセットが「みなみやま」(1700円)として提供されている。

約20種のおかずはどれも素朴で家庭的な味が楽しめる。地元産の食材を使った、これもひとつの郷土料理だ。

「里山バイキング」の一例

記事で紹介したグルメスポット

「古民家れすとらん 山王茶屋」

「古民家れすとらん 山王茶屋」

「山王茶屋」は1617年(元和3年)に南山通り(下野街道)の山王峠入口に建てられた。旅人が休んでいく茶屋だ。