会津の歴史を楽しんだり、温泉やグルメを堪能しながら観光名所を巡る会津の観光情報誌

[2013年12月 更新]

「大内宿」の名物、「ねぎそば」のいろいろ

会津藩主が育った長野県高遠から持ち帰った辛み大根のそば。それをねぎ1本で食べる「ねぎそば」が名物の「大内宿」。ここにはさまざまな名前の、さまざまな見た目の「ねぎそば」が存在している。

「大内宿」の名物、「ねぎそば」のいろいろイメージ

大内宿の名物グルメ
ねぎ1本で食べる「ねぎそば」あれこれ

東武スカイツリーラインから東武鬼怒川線を経て、野岩鉄道の湯野上温泉駅で下車。
バスで約20分かけて山を登ると到着するのが下野街道の宿場町だった「大内宿」だ(詳細は【会津を知る】ほかで紹介)。
茅葺き屋根の町並みには食事処や土産物屋、その場で団子や煎餅などを焼いている店などが連なり多くの観光客が訪れている。その数は年間約120万人ともいわれている。

そば処でもある会津。大内宿でもそば作りは盛んに行われている。そして、この大内宿の名物として知られるのが、ねぎ1本で食べる通称「ねぎそば」。食事処ではほとんどの店のメニューにある人気No.1商品だ。
会津藩の藩主となった保科正之が信州高遠で育ち、会津へ持ち帰ったのが大根おろしで食べるそばで、店によっては「高遠そば」という名で提供されている。

しかし、「ねぎ1本で食べる」という共通部分はあるものの、店によって味や具材はさまざま。
いくつかの店を紹介しよう。

大内宿。多くの観光客がここで「ねぎそば」を食べている

湯野上温泉駅からはこのバスが出ている。本数は多くないので、時間を調べてこよう

そば本来のおいしさが堪能できる
「三澤屋」の「高遠そば」と「水そば」

大内宿の入口に近い「三澤屋」。
三和土から上がるとすぐに囲炉裏があり、岩魚が炭火で焼かれている。奥に広い座敷が広がり席も多い。それでも土日祝日などはたくさんの観光客が訪れ、30分から1時間待ちのこともある。

「三澤屋」のねぎそばは、「高遠そば」としてメニューに載っている。地粉100%のそばで、つゆは水をいっさい使わずに大根のおろし汁だけ。そこに白い部分の先がくりっと曲がった長ねぎが1本添えられている。このねぎでそばを掬って食べるのだ。
話を聞く分には難しそうに感じるかもしれないが、実際にやってみると意外に掬えるもの。ただし、薬味としてねぎをかじると掬いづらくなる場合もある。もちろん箸も用意されているので、そちらを使って食べてもいい。
大根おろしとかつお節の乗せられた冷たいそばはとてもサッパリしている。辛み大根のおろし汁もさほど辛いわけではなく食欲をそそる。もちろんそばにはしっかりとコシがある。

水にこだわった「水そば」というメニューも人気がある。
こちらは中庭の深井戸から伏流水を汲み上げて作ったRO水(純水)を使ってこね上げ、茹でた地粉100%のそば。つけそばだ。
まずはねぎでそばを掬って、何もつけずにそば本来の味と香りを楽しもう。
その後は辛み大根のおろし汁と醤油のそばつゆで2種類のそばだれが味わえる。薬味は「かつお節と大根おろし」「焼いた味噌と砕いたくるみ」。
くるみの薬味は、そばの香りとくるみの風味がちょうどよく絡み合ってクセになりそう。
そばだれにつけて食べる場合は箸を使おう。

「高遠そば(ねぎそば)」。囲炉裏の周りで食べられる

「水そば」。シンプルなネーミングだが、味は単純じゃない。そばの香り、そばつゆに辛み大根おろし、おろし汁にくるみと焼き味噌と、楽しみ方がたくさん

「ねぎ一本蕎麦」と「ねぎ蕎麦」
その違いとは・・・・・・!?

大内宿の中央付近の高倉神社を越えたあたりにある「大黒屋」。
こちらはメニューに「ねぎ一本蕎麦」と「ねぎ蕎麦」がある。
「ねぎ一本蕎麦」は、その名のとおりねぎが1本ついてきてそれを箸にして食べるもの。大根おろしとかつお節と海苔がトッピングされている。そばはもちろん手打ち地粉100%でいい香り。

では「ねぎ蕎麦」はいったい何なのだろうか。通称「ねぎそば」で知られているのは「大黒屋」では「ねぎ一本蕎麦」という名だった。

果たして運ばれてきたのは、白髪ねぎが山盛りとなったそばだった。これは迫力がある。もちろんそばとねぎの相性は抜群。
なるほどこれはこれで確かに「ねぎ蕎麦」と呼ぶにふさわしいかもしれない。

「大黒屋」では「蕎麦がき」も人気メニューのひとつ。
100%のそば粉をお湯で溶きながらかき混ぜて、固まりにして出されるもの。温かいまま少しずつちぎって食べる。そばの香りがダイレクトに感じられるので、お酒のつまみとして食べる人も少なくない。
かなり食べ応えのある量なのだが、これでそば一人前とほぼ同量らしい。

そばつゆとエゴマ味噌が一緒に出されるので、ふたつの味が楽しめる。エゴマ味噌は砂糖も入った少し甘めの味噌だ。これがそばがきに合う。そば団子にエゴマ味噌を塗って焼いている店もあるくらいだ。合わないわけはない。
2種類のたれを交互に食べると、ボリューム満点のそばがきも完食してしまう。

「ねぎ一本蕎麦」。太いねぎでそばをかきこむ

山盛り白髪ねぎの「ねぎ蕎麦」。この下に具の入ったそばがある

「蕎麦がき」。左下がエゴマ味噌。そばがきはボリュームあり

歴史を感じさせてくれる家屋で食べる
「祝言そば」という名のねぎそば

第七十七代後白河天皇の第二皇子、以仁王(もちひとおう)が草鞋(わらじ)を脱いだ家という400年以上の歴史がある建物「本家玉屋」。ここでもねぎそばがいただける。

こちらはメニューに「祝言そば(ねぎそば)」とある。これがねぎ1本で食べるそばだ。

運ばれてきたときに店員さんが、「まずこのわさびを混ぜてから、器を持ってねぎでかきこむようにして食べてください」と説明してくれる。なるほど、掬うのではなくかきこんで食べるのか。そしてわさびがついているのは今回紹介するなかでここだけだ。
具は、揚げ玉と山菜ときのこが入っている。この種類の多さもここだけのものだ。
そばはやはりコシがある。

メニューに「高遠そば」がある。こちらはざるそばだ。そばつゆと別に、高遠そばといわれる由縁である辛み大根の汁がついてくる。

さらにセットものもあり、ざるそばの「そばセット」には天ぷらといなり寿司がつき、「祝言そばセット」には天ぷらとおもちがついてくる。
このおもちのように、古代米(黒米)を使ったメニューも充実している。

わさびがちょんと乗った「祝言そば」

座敷以外にもテーブルと椅子が置かれた外席がある

大忙しの店内で、お客さんはみんな片手にねぎ
温かい「ねぎそば」にもチャレンジしてみる!?

「本家玉屋」の2軒隣にある「大和屋」にも「ねぎ一本で食べるねぎそば」のポスターが貼られている。
店頭では土産物が売られていて、横から店内に入る。大内宿の食事処はほとんどがこの形。
入口を入ると、レジと調理場近くが見えて、戦場のように店員さんが働いているのが見える。この店もほぼ満席となる。

「そばセット」を注文すると、そばは温かいのと冷たいのがあると言われる。どちらか選ぶのだ。温かいねぎそばは珍しいかもしれない。
「そばセット」は、ねぎそば、五目ご飯、山菜、冷奴、お新香がセットになったもの。ボリュームたっぷり。

ここでも「ねぎでかきこんで食べてくださいね」と言われる。
そばには山菜とねぎとなめこが入っている。ねぎを箸にしながらそれをかじることができるのに、トッピングにもねぎが入っている。かじると辛すぎるのでは? という優しさからだろうか。

かわいく丸いお山のように盛られた五目ご飯もおいしいし、冷奴もさっぱりして嬉しい。そして山菜の軟らかさに少し驚いてしまうかも。
そばは手打ちらしく太さにばらつきがありコシも強い。
ゆっくり楽しみながらの食事で満腹になれる。

「そばセット」

「大和屋」。店頭では土産物を売っている

記事で紹介したグルメスポット

「三澤屋」

「三澤屋」

大内宿の比較的入口近くにある食事処。