会津の歴史を楽しんだり、温泉やグルメを堪能しながら観光名所を巡る会津の観光情報誌

[2013年11月 更新]

会津若松市で食べられる絶品わっぱめし!

杉や檜の木を曲げて作る曲げわっぱに飯とおかずを入れて蒸し上げる「わっぱめし」。会津若松市にはおいしいわっぱめしを食べさせてくれる店がある。檜枝岐村で曲げわっぱに出会い輪箱飯(わっぱめし)を創作した「田季野」ほか、全3店舗を紹介。

会津若松市で食べられる絶品わっぱめし!イメージ

伝統工芸の曲げわっぱで食べる
会津若松の美味「わっぱめし」3軒

東武スカイツリーラインから東武鬼怒川線、野岩鉄道を経て会津鉄道に入り、西若松駅と七日町駅を過ぎたら、終点の会津若松駅となる。この3つの駅の周辺にある会津若松市で食べられるわっぱめしのお店を紹介しよう。
わっぱめしというのは、曲げわっぱに入れられたご飯とその上に乗せられた具を蒸して出されるもの。

そもそも曲げわっぱとは? と思う人も多いかもしれない。
曲げわっぱは杉や檜の薄い板を曲げて作られる木製の箱で、米びつや弁当箱として使われる。
秋田県大館市で制作される大館曲げわっぱは1980年(昭和55年)に伝統工芸品に指定された。
天然秋田杉の美しい木目を生かした曲げわっぱは、白木の香りが食欲をそそり、ご飯の水分をほどよく吸収するために冷めてもおいしさを損なわず、殺菌効果もあり傷みにくい特性を持っている。

秋田をはじめ、青森や静岡、長野や三重など、各地で製作されている曲げわっぱ。会津では南会津の檜枝岐村でも製作が行われていた。産業として作られていたと同時に、山人(やもうど)たちが携行する弁当箱にも使われていたといわれている。
それが、ここ会津若松市のお店でわっぱめしとしてメニューに並ぶようになったというわけだ。

会津若松駅。駅前には白虎隊の志士の像がある

「料理旅館 田事(たごと)」のいちばん人気
「白魚(しらす)めっぱ」はここだけの食感

1926年(大正15年、昭和元年)創業の老舗「料理旅館 田事」
四季折々の新鮮な食材を使った会津の郷土料理を、足を下ろせる囲炉裏がある座敷やテーブル席で食べられる。
築100年以上という建物の館内は黒光りする廊下や静かな中庭など、歴史を感じずにはいられない。

この店では「わっぱめし」を「めっぱめし」と呼ぶ。会津の方言とのことだが、現在その呼び方をしているのは「田事」だけかもしれない。
種類は、鮭をフレーク状に細かくして三つ葉とともに混ぜた「鮭めっぱ」、少しだけピリ辛の味付けをしたぜんまいに胡麻と枝豆を乗せた「ぜんまいめっぱ」、鰻の蒲焼きを乗せた「鰻めっぱ」。そしてもっとも注文が多いのが、たっぷりのしらすに胡麻と大葉を混ぜ合わせた「白魚(しらす)めっぱ」だ。

「田事」では大きな釜を使って、ひとつずつ一気に蒸すという。
独自の製法により、ご飯がべったりとしないのが大きな特徴だ。
「白魚(しらす)めっぱ」はサッパリとしたおいしさで、ご飯の量もほどよく、あっという間に完食してしまう。
大葉は蒸すと色が黒くなってしまいがちだが、「白魚(しらす)めっぱ」の大葉は綺麗な緑色のママ。これも独自製法のなせる技らしい。

単品で物足りない場合は、味噌汁をつけることもできるし、小鉢と「もろこし豆腐」「じゃが芋バター焼き甘味噌」がついたセットメニューもある。ランチの時間はセットのほうが注文が多いという。
一品メニューにもある「もろこし豆腐」も「田事」の名物といえる逸品。色は玉子豆腐のような黄色なのだが、口に入れてみると、当然だがその名のとおり完全にとうもろこしの味。食感は豆腐だけど、味はマイルドなとうもろこしという不思議なおいしさが味わえる。
「じゃが芋バター焼き甘味噌」は、じゃが芋にチーズを乗せて焼いたものに甘い田楽味噌をかけたもの。外側はチーズのパリッとした食感。じゃが芋と田楽味噌は当然マッチしている。こちらもおすすめの一品だ。

夏には枝豆と胡麻と茗荷の季節限定メニュー「枝豆めっぱ」というものもあるらしい。ぜひ食べてみたい。

「白魚(しらす)めっぱ」のセット。1600円

「料理旅館 田事」。広い日本家屋での宿泊もおすすめ。静かな環境でおいしい料理がいただける

「白魚(しらす)めっぱ」。ふんだんに盛られたしらすと、まったくネットリしていないご飯で、ペロリと平らげてしまう。単品800円、汁付き950円

七日町通りをブラリ散歩するのも楽しい

「料理旅館 田事」の南には七日町通りが東西に伸びている。約750mの通りで、七のつく日には市が立っていたことからその名がつけられたという。由緒ある寺や神社もあり、歴史を感じられる景観も大切に残されているため、多くの観光客が訪れている。
古い蔵造りの家や、もとは呉服屋だったモダンな外観の建物などを眺めながら歩くのも楽しい。
食事処も会津ラーメンや地粉にこだわった手打ち蕎麦、こづゆなどの郷土料理のお店や、蔵を生かした内装がお洒落なカフェ&バーなど、多彩。
ぶらりと散歩してみるだけでいろいろ発見できるかもしれない。

その七日町通りを東に向かい、交差した野口英世青春通りを越えて鶴ヶ城方面へ少し南下したところにあるのが、「元祖輪箱飯 田季野」だ。

檜枝岐村で曲げわっぱに出会った店主が
輪箱飯(わっぱめし)を考案。「元祖輪箱飯 田季野」

1970年(昭和45年)に開業した割烹・会津料理の「元祖輪箱飯 田季野」は、先代店主が1955年(昭和30年)に尾瀬の玄関口である南会津の檜枝岐村で曲げわっぱに出会ったことからはじまったといっても過言ではない。

厳しい自然に囲まれた檜枝岐村で、山に入る男たちが携える弁当箱。力強さと同時に春の尾瀬の優しささえ感じさせてくれる曲げわっぱに惹かれた先代は、その器に会津の食材を使った料理を盛った輪箱飯(わっぱめし)を創りたいと考えた。
山に囲まれた檜枝岐村は枯れた土地ゆえ米は作れず、蕎麦を作り、山人(やもうど)が狩りに出るという生活をしていた。店名の「田季野」はそんな自然に恵まれた力強い檜枝岐村にあやかり、「田んぼも野原も希なるところである」というところから名付けたという。
檜枝岐村については、「電車で懐かし旅」の檜枝岐村特集に詳しく書かれているのでご参照いただきたい。


「田季野」は鎌倉時代から続く下野(しもつけ)街道の旧家、絲澤舊陣屋(いとざわきゅうじんや)を移築復元した店舗だ。150年から200年前に建てられたものだという。

「田季野」のわっぱめしでいちばん人気なのは、ぜんまい・きのこ・蟹・鮭・玉子が乗せられた、「五種輪箱飯」だ。
付け合わせには「切り昆布の煮付け」と「けとばし」、そして漬け物。
「切り昆布の煮付け」はさっぱりとしていて、付け合わせには最適。
「けとばし」は馬肉をにんにく味噌とともに炊きあげたもの。馬肉のことを「けとばし」という理由は、いわずもがなだろう(馬は蹴飛ばすからね)。
「けとばし」は味がしっかりとついている。漬け物とともに食べていると、ご飯が何杯かいけそうだ。

メインの「五種輪箱飯」。
鮭に蟹という、なんとも贅沢な具材と対峙するようにぜんまいときのこが向かい合っている。それを審判するように玉子焼きが鎮座。
食べてみると、どれも素材の味を壊さず生かし、しっかりとそれぞれの持ち味を主張している。
その味が、たっぷりと盛られたご飯にも染みている。これは曲げわっぱの特性を生かして、冷めてもおいしいに違いない。と思ったら案の定、お土産用の輪箱飯もあるようだった。
ただし、この場に食べにきて、食べきれなかった分を持ち帰るのは、気候によっては行っていないとのこと。ご飯のボリュームがあるので、お腹を空かせて来たほうがいいかもしれない。

冷めてもおいしいわっぱめしが、「田季野」にある。

「田季野」の「五種輪箱飯」(1840円)

座敷やテーブル席がたくさんある。団体客にも対応

「五種輪箱飯」。ほかには「かに輪箱飯」「ぜんまい輪箱飯」「鮭輪箱飯」「鮭親子輪箱飯」「きのこ輪箱飯」「けっとばし(馬肉)輪箱飯」など

テーブル席。この日も団体予約が入っているようだ

「元祖輪箱飯 田季野」
住所:福島県会津若松市栄町5-31
TEL:0242-25-0808
営業時間:11:00~22:00
URL:http://www.takino.jp/frame.html

地元の人も通う名店「鶯宿亭 飯寺店」では手塩皿にも注目

鶴ヶ城の西へ進み、西若松駅を越えたところにあるのが、創業20年以上の「鶯宿亭(おうしゅくてい)」。
外観はこれまでの2店のような和の雰囲気はなく、コンクリートの平屋造りで、一見お店とは気づかないかもしれない。それこそ近年増えてきたお洒落なラーメン屋などによくあるような店構えともいえる。ドアを開けてみると、内装もとても綺麗で洒落た雰囲気。テーブル席と、フローリングに座椅子が置かれた広いスペースがある。その靴を脱いで上がる席には、和室らしい低い位置に設置された大きな窓がある。光を採り入れる上品な窓からは、石灯籠などが見えている。

メニューは会津の郷土料理はもちろん、手打ち蕎麦もあり、地元の人にも人気がある。「山の幸のカツ巻定食」(1260円)といった創作料理もある。
こづゆなどの郷土料理は、会津塗りで作られた手塩皿に盛られて運ばれてくる。

「ぜんまいわっぱ定食」もつまみ菜のお浸しや煮物などが手塩皿に盛られている。わっぱめしはぜんまいと油揚げ、糸蒟蒻が乗せられたもので、ご飯も1膳半ほどあるボリュームたっぷりのもの。
ぜんまいなどの具にしっかりと味がついていて食べ応えがある。しっかりと蒸された冷めてもおいしいわっぱめしだ。

「鶯宿亭」の料理はすべて女将さんが作っている。「鶯宿亭 大手門通り店」もあり、こちらは夜のみの営業。どちらかというとお酒とともにつまむ料理が中心だ。

「ぜんまいわっぱ定食」(1575円)

記事で紹介したグルメスポット

「料理旅館 田事(たごと)」

「料理旅館 田事(たごと)」

1926年(大正15年、昭和元年)に創業した割烹料亭の老舗。

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